精油でストレスフリーな仕事環境を!「香り」を効果的に取り入れるコツ <産業医監修>

2021年5月13日

昨今の社会情勢に伴い、不要不急の外出を控えたりと生活環境が大きく変わりはじめて約1年。はたらく環境が大きく変わったという方も多いのではないでしょうか。連載「はたらくHack!」では、この時代を元気に自分らしく“はたらく”ためのエッセンスをご紹介していきます。 

初回のテーマは、「香り」。

いまやアロマテラピーや精油といった言葉はそう珍しくありません。植物の名前とともに「リラックスする香り」などと謡われた商品もさまざまあり、実際に使ってみて「香りに癒された」と、その効果を体感したことがある人も多いのではないでしょうか。

でも、香りは本当に心身に影響を及ぼしているのでしょうか?香りの力の再確認をはじめ、日常の中での取り入れ方を、産業医の原島浩一先生に伺いました。

原島浩一先生
原島産業医事務所代表 
認定産業医 労働衛生コンサルタント
群馬大学医学部および群馬大学大学院卒業後、放射線科医として癌の治療に従事。2007年から数社の専属・嘱託産業医を務める。

■トピック

・「寝る前にラベンダーの香りをかぐといい!」は本当だった!

・精油の効果でケアレスミスが減少する⁉

・香りを味方につけ、オンとオフの気持ちの切り替えをスムーズに!

「寝る前にラベンダーの香りをかぐといい」は本当だった!

――近年、気軽にできるリラクゼーション法として香りの力が注目されているように感じています。香りについての研究もかなり進んでいるのでしょうか?

精油(エッセンシャルオイル)の効能については、さまざまな研究がされています。エビデンスも数多くあり、現在は医療分野での活用も期待されているようです。
よく耳にする、「アロマテラピー」は、アロマ(aroma:香り)と、セラピー(therapy:療法)を合わせた造語。植物から抽出した精油の力で、心身の不調や症状緩和を目的として治療することで、1980年代に日本に取り入れられたと言われています。

――代表的な精油とその効能を教えていただけますか?

研究にはさまざまな精油が使われていますが、中でもラベンダーを使用することが多いようです。また、数多く研究されている精油が、どのような症状を和らげるのに有効とされているかを調べたものもあり、下記のように言われています。*1

・睡眠障害を和らげるには……ラベンダー、ベルガモット
・苦痛・不安を和らげるには……ラベンダー
・疼痛を和らげるには……ラベンダー、ベルガモット、スイートオレンジ
・神経症状を和らげるには……ラベンダー、ローズマリー
・ストレスを和らげるには……ラベンダー、スイートオレンジ

一般的にも、ラベンダーはよく知られていますし、リラックスするのに良いと言われていますが、それはきちんとした研究の裏付けがあることなんです。

精油の効果でケアレスミスが減少する⁉

――精油はリラックスしたいときに使用するのが良いのでしょうか?

そうとも限りません。精油によっては、頭をスッキリさせたい、集中したいといったときに、助力してくれる精油もあるんですよ。

ある調査で、ペパーミントとオレンジスイート2種の精油での芳香浴が、計算力や気分にどう影響するのかを実験したものがあります。小学6年生を対象とした実験なのですが、これによると、計算ミスがペパーミントでは23.8%、オレンジスイートでは27.3%減少したことが報告されています。また、ペパーミントの芳香浴後は、集中している、頭がスッキリしている、オレンジスイートの芳香浴後は、やる気がある、イライラしていない、頭がスッキリしているなど、有意な変化が認められたそうです。*2

――ペパーミントやオレンジスイートの香りは、仕事の効率をアップさせてくれるということでしょうか。

効率がアップするとまでは言い切れませんが、ペパーミントやオレンジスイートをはじめ、グレープフルーツやレモンといった爽やかな香りをかぐと、頭がスッキリしたり、明るい気持ちになったりしますよね。つまり、そうした気持ちの変化の結果として、集中力や作業効率が上がる可能性がある、ということです。

――集中力がアップする可能性があるなら、仕事中のときにも使うとよさそうですね。

実は私も精油利用者です。仕事中はもちろん、場面に合わせて日常的に精油を使い分け、使用しています。

香りを見方につけ、オンとオフの気持ちの切り替えをスムーズに!

――場面に合わせて使い分けている、とは?

仕事をスタートする前には頭がすっきりするような香り、仕事が終わったらオフモードになるために自分がリラックスできる香りをかいで、オンとオフを切り替えています。ほかにも寝る前だったり、朝だったり、そのときどきの気持ちに合わせて使っていますね。

――新しい生活様式で在宅ワークとなり、オンとオフの切り替えを苦手に思っている人も多くいるように思います。そのような人にもおすすめですね。

はい。オンとオフの切り替えが上手く付けられないと、夜遅くまで仕事をしてしまって夜更かしをしてしまうなど、生活が不規則になりがちです。そして、不規則な生活を続けていると、あらゆる生命活動をコントロールしている自律神経が乱れて、慢性的な不調に悩まされることになりかねません。

――自律神経を整えるにも精油は有効であると?

はい。自律神経には、アクティブ状態を司る交感神経とリラックス状態を司る副交感神経があり、本来、昼間は交感神経が、夜は副交感神経が優位になります。
香りはこの自律神経を整えるのに有効です。たとえば、先ほど紹介したストレスの緩和に効果的なラベンダーは副交感神経を、グレープフルーツの香りは交感神経のはたらきを高めるのが得意といわれる精油です。交感神経・副交感神経両方をバランスよく刺激するといわれる精油もあります。

オンとオフの切り替えをスムーズに行うにはもちろん、心の安定を図るため、ポジティブになるためなど、そのときどきで香りの力を借りることは、仕事のパフォーマンスをアップするのにもとても有効だと思いますね。

――精油はどのように選べばいいのでしょうか?

エビデンスに基づいて数種類の香りをご紹介しましたが、精油はたくさんあり、それぞれに効能があります。「ストレス緩和には絶対にラベンダー」なとどステレオタイプに考えず、自分がリラックスできる香りを選べばいいと思います。リフレッシュしたいときも同様です。

また、精油は単一でもいいですが、自分でブレンドしたり、ブレンドされているものを使用してもいいと思いますね。

オンタイムに入るとき用、疲れてきた午後にリフレッシュする用、オフタイムに入るとき用、リラックスしたいとき用などと、効能をひとつの目安として自分好みの精油を用意しておくのも楽しいと思いますよ。

――精油の手軽な楽しみ方はありますか?

アロマディフューザーなどを使って香りを部屋に拡散するもよし、ハンカチに1滴垂らし、鼻に近づけて深呼吸をするのもよし。また、外出時にマスクが必須のいまは、マスクに吹きかけて使用できるアロマスプレーもあるようです。

コロナ禍のいま、少しでもストレスフリーな毎日をキープするために、精油をライフスタイルの一部に取り入れてみてください。

***

次回は「食」をテーマにした情報をご紹介します。
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< 参考文献>

*1 茅島 綾,板倉 朋世,遠藤 恭子, 河野 かおり,越雲 美奈子:「メディカルアロマセラピー研究の動向と課題」(『獨協医科大学看護学部紀要』12巻)2019,pp.67-81

*2 熊谷千津,永山香織:「小学生の計算力と気分に与える精油の影響」(『アロマテラピー学雑誌』16 巻)2015, pp.7-14

※精油はそれぞれに効用があり、適した使い方や使用上の注意事項があります。使用上の注意などをよく確認した上で、ご利用ください。
※ 本記事で提供する情報は、診療行為、治療行為、その他一切の医療行為を目的とするものではなく、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。


(文:佐藤美喜)

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編集・ライター佐藤美喜
大手出版社勤務を経て、フリーランスの編集&ライターとなる。女性誌やPR誌、子ども向け雑誌から書籍までを手掛け、“旅” “食” “健康”をはじめとする幅広い分野に携わる。共著あり。海&ダイビングが好き!

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