仕事のストレス、モヤモヤに…。華麗なる「スルースキル」で鈍感力を身に付けよう

2022年5月17日

夜寝る前に上司や同僚から言われた一言が頭に浮かんでモヤモヤする……。そのうちに、「あの言葉の裏には何か事情があったのかも……」「自分の行動が悪かったのかな……」と頭の中でぐるぐると考えすぎてしまい、なかなか寝付けない、なんて経験のある方もいるのではないでしょうか。

こうした「気にしすぎてしまう敏感な人」に向けて、「全部スルーしちゃえばいい」という“スルースキル”を提唱しているのが、心理カウンセラーの大嶋信頼先生です。

スルースキルとは、一体どうやって身につけられるのでしょうか?

大嶋信頼先生 心理カウンセラー 株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役
 米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。心的外傷治療に新たな可能性を感じ独立、ブリーフ・セラピーであるFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発しトラウマのみならず多くの人が自由に生きられることを目指し治療を行っている。
ブログ「緊張しちゃう人たち」や、会員制オンライン講座「無意識の旅」をほぼ毎日更新している。

あなたは敏感な人?鈍感な人? まずはチェックしてみよう

そもそも、相手の気持ちを考えすぎて空気を読みすぎてしまう敏感な人には、どんな傾向があるのでしょうか?

大嶋先生によると、次のような傾向がある人は気にしすぎてしまう敏感な人である可能性が高いそう。まずは、自分が該当するかチェックしてみましょう!

[CHECK]

□夜、1日を振り返って「ひとり反省会」をする

□「あの時、ああ言えばよかったかも」と後悔することがよくある

□みんなが忙しく仕事しているのに、自分だけ休みを取るのは後ろめたい

□頼まれ事や気の乗らない誘いを断るのが苦手

□自分の意見をはっきりと言えないことがある

□周りの人の言動に無理してあわせてしまうことがある

□何か問題が起きた時に「自分にも原因があるのでは」と考えてしまう

□ヒソヒソ話をしている人がいると、自分のことを言われている気がする

□電車に乗っている時、妊婦やお年寄り、マナーが悪い人がいると気になる

□SNSやLINEを放置できず、頻繁にチェックする

□ドラマやドキュメンタリーを見て、感情移入してしまうことがある

□「この人は自分とは合わない」と感じることが多い

該当する項目が5個以上ある人は「敏感な人」タイプかもしれません。周囲の人に気を遣うことができるやさしさを持っていますが、一方で周囲に嫌われないように、迷惑をかけないようにと行動する傾向も。そのため、人間関係やコミュニケーションにストレスを抱えたり、疲れてしまったりするケースが多いそうです。

一方、あまり当てはまらない人は、どちらかといえば良い意味で「鈍感な人」タイプ。過剰に空気を読みすぎることもなく、無意識のうちに面倒なことはスルーして適度な距離感で人間関係を築けるタイプが多いようです。また、「自分が楽しいか」「好きか」を軸に考え、行動力があり、やりたいことを次々と実現していく人が多い傾向があります。

「両者を比べてみると、鈍感な人のほうが人生を気楽に生きていけそうな気がしませんか? 敏感な人は周囲の空気を読みすぎてしまう傾向がありますが、時にはスルーしてもいいケースがあると思います。自分が敏感なタイプだと感じたら、スルースキルを身につけて少し鈍感になってみると、モヤモヤした気持ちがすっきり晴れるかもしれません」と大嶋先生。

大嶋先生、スルースキルを身につける方法、教えてください!

スルースキルとは、流れに身を任せるスキル

――スルースキルってどんなスキルなんでしょうか?

一言で言うと、流れに身を任せるスキルです。周囲の反応を気にしたり、自分が思い描く正しい姿を無理に目指そうとせずに、周りから何を言われようと全部スルーして流れに身を任せる。そうすると、結果的にいい方向に進んでいくことが多いんです。

――周囲の人の反応、ついつい気になってしまいます……。

「敏感な人」の場合、たとえば「飲み会を断ったら嫌われるかな」「困っている人がいたら自分が助けなきゃ」などと常に考えて、人に気を遣いがちなところがあります。すると、周りに振り回されやすく、結局自分がやりたいことができなくなってしまうことがあります。

また、人に気遣いができるというのは大切なことですが、一方で相手の気持ちを考えすぎてしまうと「自分が我慢すればいい」という思考になりやすく、心がモヤモヤしてストレスを感じやすくなってしまうんです。

人に気を遣うということは、相手に喜んでもらいたい、不快な思いをさせたくないと考えること。お客さまをおもてなしするような関係になりやすいため、マウンティングの対象となりやすいんです。

すると、自分では善意と思いやりの気持ちで関わっていても、相手から利用されたり、高圧的な態度を取られたりすることもあります。

――たしかに、気を遣って厄介事を引き受けたら、次からなぜか自分ばかりに面倒な仕事が振られる……なんてこともありますよね。

気遣いをしすぎるがゆえに周囲の空気を敏感に察知して、より良い結果を出すためにどうしたらいいか対策を立てたり、責任感が強くてあれもこれも自分がやらなければと考えてしまったりするんです。

――自分が本当は何をしたいのかがわからなくなってくる、と。

あと、「敏感な人」がよく陥りがちなのが、「あなたのために自分はこんなにしてあげているのに」という感情です。これ、周囲の人からすると重荷に感じることもありますよね。結果的に人間関係がスムーズに行かなくなることも。

大事なのは、相手がどう思うかを基準にして考えたり、自分と同じように相手も思っていると期待したりせず、自分自身にもっと目を向けることです。自分は何が楽しくて、何が楽しくないのかを基準に考えるほうが、いろいろな物事がうまくいくと思います。

スルースキルを身につければ、人生がラクになる

――一方で、スルースキルがある人はやりたいことを実現していく傾向があるのはなぜですか?

あまり細かいことを気にしない傾向があるんです。自分がやりたくないことは断るし、できないことはできないと言う。ある意味鈍感で、無意識的です。

敏感な人は自分でなんとかしようとするのに対し、スルースキルがある人は周囲の事情をあまり気にしません。そのため、周りが変な期待をせず、なんとかしてくれる。甘え上手で、周囲の協力を得やすいんです。

――自分がやりたいことを発信する力、周囲を巻き込む力があるんですね。スルースキルをこれから身につけるにはどうしたらいいのでしょうか?

まずは、自分が気を遣い過ぎている、空気を読み過ぎていると気付くことが大切です。

1日を振り返る時に、誰かに言われた言葉や人の気持ちを考えている割合が2〜3割あったら、それは周囲の人を気にしすぎかもしれません。また、楽しいことがあまり思い浮かばない場合もあまりよくない傾向です。

自分が気を遣い過ぎていることを、自分でしっかり認識しましょう。そうすれば、あとは無理に何かを変えようとしなくても大丈夫です。このタイプの方はがんばって状況を変えようとして、それが結果的にストレスになってしまうことが多いので、気づいたうえで何もしないというのが1つの解決策なんです。

――たとえば、仕事で上司から無茶振りされた時は、どう対応するのがいいのでしょう?

「頑張ります」と言いつつ、自分のできる範囲で取り組むのがいいんじゃないでしょうか。

仕事に責任感を持つことは大事ですが、それが強すぎると「自分が全部しっかりやらなきゃ」と背負いこんでしまいます。それよりは、「最終責任は上司にある」くらいの気持ちでいるのがいいかなと。つまり、責任の一部をスルーするんです。

でも、そのかわりというわけではありませんが、相手に経過を報告することを忘れないでください。「今、この段階です」とこまめに報告しておくことで、最後にどんでん返しをくらうケースが少なくなりますし、達成が難しそうだったら周囲がサポートしてくれるはずです。

あとは、周囲の人の言動を真に受けすぎないというのも大事です。機嫌が悪いのは八つ当たりかもしれないし、一見気になる行動にも大して意味はないかもしれません。もしかしたら、あなたへのただの嫉妬かもしれません。このくらいの気持ちでスルーしておくのがいいと思います。

――「自分がやらなければ」と仕事を抱えやすい人は、どうしたら人に任せられるようになりますか?

仕事を抱えこみやすい人の中には、この仕事を頼んだら相手が困るだろうから自分がやらなければ、という考えの人も多いかもしれません。あるいは、自分も大変なのに困っている人の作業を手伝ったり。これらも一種の気遣いですが、裏を返すと、「相手はこの仕事ができないだろう」と最初から思い込んでいるという見方もできます。

こういった状況では、まずは一呼吸おいて、自分が気遣いをしなかった時に相手がどうなるか想像してみてください。そして、相手がどう対応するか、様子を見る。すると、結果的に手伝わなくても自力で解決していることがあるはずです。

自分の中にある「楽しい」という感情を大切にする

――ほかに、スルースキルを身につけるためにできることはありますか?

1つは、思考の柔軟性を持つことですね。「自分とはあわない」「これは正しくない」と拒絶するのではなく、「そういう見方もあるんだ」と相手の意見を受け入れられるようになると、いろいろな人とのコミュニケーションが広がり、自然とスルースキルが身につくと思います。

もう1つは、自分の中にある「楽しい」という感情を大切にすること。楽しい気持ちが増えるというのは、自分の軸で物事を考えるようになれたということ。周囲に必要以上に気を遣うこともなくなり、毎日が過ごしやすくなると思います。

楽しいことがわからない場合は、「これは楽しい」と自己暗示をかけてみてください。「〜しなければ」と考えるとまったく楽しくないですが、「〜したい」と考えるクセをつけると、日常の些細なことでも楽しいと感じられるようになるはずです。また、最初は楽しくないと感じていたことも、だんだんと無意識に楽しめるようになります。

こういう考え方を習慣にしていけば、空気を読みすぎて疲れるといった状況から自然と抜け出せると思います。

――たしかに、たとえば「会議で発言しなければいけない」と考えるとおっくうな気持ちになりますが、「会議で発言したい」「会議で発言するのは楽しい」と考えるようにすると、いつのまにか本当にそういう気持ちになっていきそうです。

空気を読みすぎているかもと気づいた時は、「自分がどうしたいか」「自分にとってこれは楽しい?」を問いかけてみるといいですね。

大嶋先生、ありがとうございました!

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編集/ライター村上佳代
ビジネス系やインテリア系のインタビューをしつつ、企業媒体の企画制作をしてます。ようは雑食。趣味はドラマの伏線分析。

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