誰にでもできる!自己肯定感を高める意外な習慣とは<産業医監修>

2021年7月14日

昨今の社会情勢に伴い、不要不急の外出を控えたりと生活環境が大きく変わりはじめて約1年。はたらく環境が大きく変わったという方も多いのではないでしょうか。連載「はたらくHack!」では、この時代を元気に自分らしく“はたらく”ためのエッセンスをご紹介していきます。

第6回目のテーマは、「自己肯定感」。

「日本人は自己肯定感が低い」などど、近年「自己肯定感」という言葉をよく耳にするようになりました。
あなたは自分で「自己肯定感」が高いと思いますか?もし、ちょっとした失敗で深く落ち込んでしまい、なかなか立ち直れないようであれば、自己肯定感が低くなっているのかもしれません。
今回は自己肯定感の定義から、自己肯定感の高め方までを産業医の原島 浩一先生に伺いました。

原島浩一先生
原島産業医事務所代表 
認定産業医 労働衛生コンサルタント
群馬大学医学部および群馬大学大学院卒業後、放射線科医として癌の治療に従事。2007年から数社の専属・嘱託産業医を務める。

■トピック

・ネガティブだってかまわない。ありのままの自分を受け入れよう

・良い生活習慣を身に付けよう。それが自分を支える根っこになる


・褒め合い、認め合おう!

ネガティブだってかまわない。ありのままの自分を受け入れよう

――「自己肯定感」をいうワードをよく耳にします。自己肯定感とは、そもそもどういうことなのでしょうか?

さまざまな研究者が定義を提唱していますが、簡単に言うと、「自分を自分であると認め、肯定的に好ましい存在と思う感覚」。砕いていうと、自分のすべてを自分と認め、大切な人間、生きる価値がある人間だと自分自身を尊重できる感覚、と言えると思います。

――自己肯定感が高い人と低い人で、どのような違いがあるのでしょうか?

たとえば、仕事で失敗をして上司に叱られたとします。そのとき、あなたは「自分はなんてダメなんだ……」と落ち込み、その気持ちをズルズルと引きずりますか?それとも「指摘や失敗の原因をしっかり受けとめて、次は失敗しないようにがんばろう!」と早くに立ち直り、次に向かいますか?
前者は自己肯定感が低い傾向、後者は自己肯定感が高い傾向にあるといえます。 

――つまり、自己肯定感が低いとネガティブになりがちということでしょうか。

自己肯定感が低いと、自分のダメな部分や悪い部分ばかりに目がいき、自分を否定してしまいます。するとさらに自信がなくなり、物事をネガティブに考えてしまう。こうしたことを繰り返していると、ちょっとしたことでしょげてしまったり、失敗が怖くてチャレンジできなくなったり、周囲の状況や評価に一喜一憂してしまったり……、メンタルも不安定になりがちだと言われています。

――では、自己肯定感の高い人とは?

他人との比較や社会的地位などを根拠にするのではなく、自分を無条件で認めて受け入れられる状態の人。たとえば、「他人や会社からどう評価されている」という基準で自分の価値を判断するのではなく、「弱かったり、劣っていたり、良くない部分もあるけれど、自分自身そのものに価値がある」と考えられることです。そのため失敗をしたとしても、「今回は仕方ない、自分なら次は成功できるはず」と考えて、前向きに取り組むことができるというわけです。

――ネガティブ思考の人の場合、それも受け止めるということですか?

そうです。「ネガティブ思考な人=自己肯定感が低い人」ではありません。ネガティブに考えることは誰にでもあります。大切なのは、ネガティブに考える自分を「なんてダメな人間だ……」などと否定しないということ。「ネガティブに考える時もあるよね」と受け入れましょう。

良い生活習慣を身に付けよう。それが自分を支える根っこになる

――自己肯定感を高める方法はありますか?

さまざまなワークがあるようですが、私が大切だと思いおすすめしたいのは、良いとされる生活習慣を身に付けること。良質の睡眠をとり、早起きをして朝食を取るなどのことです。

――生活習慣を整えることが、自己肯定感を高めることに繋がるのですか?

「大学生を対象として自己肯定感と生活習慣の関連を調査した研究」では、よい生活習慣を身に付けている人は、そうでない人とに比べて自己肯定感が高かったそうです。*1

調査対象になった生活習慣は、起床時間や朝食の摂る頻度、食事の前後に「いただきます」「ごちそうさま」と挨拶をするかなどさまざまで、朝食を摂る、挨拶をするといった、良いとされる生活習慣を行っている人ほど、自己肯定感が高かったとか*1。また、睡眠が自己肯定感に及ぼす影響を調査した研究では、夜型より朝型、そして睡眠の質が良いほど自己肯定感が高かったという報告がされています。*2

きちんとした生活を送るということは、健康を守ることであり、自己をつくること。それは自分の根っこを育てることだと私は思っています。そして、根っこを育てることは、自己肯定感を高めることに繋がるのではないかと考えています。

――根っこがしっかりしていれば、少々のことでは倒れない。何かあっても前向きに対処できる、ということでしょうか?

仕事をしていれば誰でもミスをするし、ミスをして「自分はこんなこともちゃんとできないのか」とネガティブな感情に襲われることはあると思います。
でも、朝きちんと起きている、挨拶をしているなど、自分の良いところを見つけることができれば、一時的に「何をしてもダメだ」「存在価値などない」といった根拠のない自己否定の渦の中にはまったとしても、早くに「できることをしてミスを挽回しよう」と前向きな気持ちにチェンジできるのではないかと思います。

自己肯定感向上に関する研究はさまざまありますが、ある論文には、自己肯定感には、浅い自己肯定感と深い自己肯定感があるとされています。深い自己肯定感は、冒頭でお話ししたたように、善悪も含めてありのままの自分を認めることができること、浅い自己肯定感は、自分の良いところに目を向けることができること、というようにあります。*3

ネガティブな感情から自己否定に入りそうになったときは、自分の良いところに目を向けてみるといいと思いますね。その際、大切なのは視野を広くもつこと。ネガティブな感情への入り口が仕事だからといって、仕事の中だけで自分の長所や短所を探すのではなく、日常生活や友人関係など、いろいろな部分の目を向けるのがよいと思いますよ。

褒め合い、認め合おう!

――最近、自己肯定感を高める方法の一つとして、“褒める”を可視化する「ピアボーナス」などを導入している企業も多いですよね。

そうですね。とても良い方法だと思います。
ビジネスシーンでは「できて当たり前」とされることが多く、褒められることより指摘を受けることの方がどうしても多くなります。だからこそ、認め合うことは重要だと考えます。

自己肯定感を育てるために、どのような教育を子どもたちにしたらよいか、といった研究はいろいろされているのですが、多くに認め合うことの大切さが説かれています。*4

大人でも、同じことが言えると思います。指摘は指摘で大切ですが、それだけでなく、普段のコミュニケーションをとる中でお互いを認め合い、褒める――、そうしたことが、自己肯定感を高めるのに一役買ってくれると思います。

***

次回は、「音」をテーマにした情報をご紹介します。
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<参考文献>
*1 樋口 善之,松浦 賢長:「大学生における自己肯定感と生活習慣との関連に関する研究」(『福岡県立大学看護学部紀要』 1(1))2013, pp.65-70

*2 成田 奈緒子,渡辺 ひろの:「大学生の自己肯定意識に影響する睡眠習慣の重要性」(『文教大学教育学部紀要 = Annual report of the Faculty of Education, Bunkyo University』第49 集)2015,pp. 209-221

*3 作田 澄泰,中山 芳一:「コミュニケーション行為による自己肯定感向上に関する研究 : キャリア教育の視点からみた道徳授業実践を通じて」(『岡山大学教師教育開発センター紀要』第2号 別冊)2012, pp.14-23

*4 小林賢太郎:「自己肯定感を高める学級経営についての一考察―小学校における実践の再考を通してー」(鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第51号,39-58 2021)

吉森 丹衣子,Taeko Yosimori:「大学生の自己肯定感における対人関係の影響 : コミュニケーションを重視して」(『国際経営・文化研究 = Cross-cultural business and cultural studies : 国際コミュニケーション学会誌』 Vol.21 No.1)2016,pp. 179-188

※本記事で提供する情報は、診療行為、治療行為、その他一切の医療行為を目的とするものではなく、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

(文:佐藤美喜)

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編集・ライター佐藤美喜
大手出版社勤務を経て、フリーランスの編集&ライターとなる。女性誌やPR誌、子ども向け雑誌から書籍までを手掛け、“旅” “食” “健康”をはじめとする幅広い分野に携わる。共著あり。海&ダイビングが好き!

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