何もできない新卒1年目に身につけるべきスキルとは?元コンサル覆面作家「メン獄さん」に聞く

2023年9月8日

右も左もわからないまま、ただ緊張しながら始まる社会人1年目。学生時代とは違い、教科書のない日々の仕事に翻弄された人も多いのでは。そんな悩み多き社会人1年目は、どんなスキル・マインドを身につければ活躍できる人材になれるのでしょうか? 

そんな疑問に答えてくれたのが、汎用的なビジネススキルが最も身につく仕事とも言われるコンサルティング会社で12年勤務し、SNSでの発信で人気を集めるメン獄さん。メン獄さんと一緒に、新卒1年目の成長ロードマップを考えてみました。これさえあれば、怖くない。

「コンサル」はやりたいことがない人がスキルを身につける最良の一手

──メン獄さんは、学生時代どのように過ごしていましたか?

学生時代はバンドを真面目にやっていて、月に2〜3回はライブをするような生活でしたね。バンド活動のためにアルバイトもよくしていましたけど、その割に勉強は真面目にやっていたかもしれません。法学部にいたので、このまま勉強を頑張って法曹の仕事をしようと考えていた時期もあります。

──でも、新卒ではコンサルティング会社に就職されていますよね。どんな背景があったのでしょうか?

あまり深い理由はないですよ。アルバイト先の会社の社員さんに「法曹の仕事をやろうと思っているんです」という話をしたら、「世の中のことが分からない奴が社会を裁くのって皮肉なもんですよね」みたいなことを言われて。ムカついた反面、確かにそうかもしれないと思っちゃったんですよね。

だったら、就活ぐらいやっても減るもんじゃないし、やっておくかって。コンサル業界を選んだのは、就活サイトでコンサル会社を見つけたから。そこに山があったから、みたいな理由です。そんなに目的意識がない割に12年も続けちゃいましたけどね。

コンサル時代のさまざまな経験を克明に記録した『コンサルティング会社サバイバルマニュアル』は初の著書でありながら多くの話題を呼ぶヒット作となった

──なんとなく応募しただけなのに、12年も……。

あんまり自我がなかったから続けられたのかもしれないですね。バンドを辞めて仕事をやり始めた自分が仕事まで辞めたら何も残らないだろうなってことは分かっていたので。そんなことを思いながらはたらいていたら、気付いた時には10年経ってました。

著書にも書いたんですけど、ぼくみたいに具体的にやりたいことがない人には、コンサル業界はめちゃくちゃおすすめですよ。幅広いクライアントがいるので基礎スキルを身につけるための「教材」が揃っているし、仕事に対する基本的な考え方、手早く仕事を片付ける方法とか、仕事を圧倒的なスピードでこなすためのスキルが身につくので。「ここでスキルを身に付けておけば、どんな業界に行っても大丈夫」というように、実践的で密度の高い「職業訓練校」として機能している側面もあるかもしれません。

とはいえ、ぼくが新卒の時代はとにかく激務で戦場のような業界だったので、魂を捧げる覚悟もなく入社すると大変な思いをすることになりますけど。ただ、今は環境も改善しているはず。一方、本当にやりたいことがある人はやりたいことをやった方がいいというのは間違い無いですね。

現在、メン獄さんはYouTubeでもそのはたらき方を発信している

メン獄流「新卒1年目の成長マニュアル」

──​​「就活サイトでボタンがあったから」で入った会社で、メン獄さんはどんな1年目を過ごしましたか?

つまずいていない瞬間がない。ずっと転び続けているからほふく前進みたいな状態でしたね。本当に何もできなくて、一挙一動を怒られていました。動くと怒られるからといってじっとしていると、動いてなくても怒られる。内定者懇親会で「大変だ」「ハードなはたらき方をする」とは聞いていたのですが、実際はたらき始めると毎日「なんだこれ」って感じでした。


【入社1〜3ヵ月】つまづいてない時がない「ほふく前身期」

・何をしていいのかわからない
・失敗を恐れてうまく質問ができない
・そもそも誰に何を聞くべきかがわからない

──そんなメン獄さんが、今の視点で新卒1年目の成長ロードマップを考えるとしたらどんなものになるのかお聞きしたいです。まず、入社1か月目〜3か月目は、新卒社員にとってはどんな時期なのでしょうか?

何を読めばいいのか、何を書けばいいのか、誰に連絡をすればいいのか、何をすれば仕事をしたと言えるのかわからない。帰っていいのかもわからない。「帰っていいですか?」と先輩に聞くと、「どう思う?」と返されるので、「どうなんでしょう……」って(笑)。

やることないなと思って、フォルダを整理しようとファイル名を変えたりするんですけど、変えたら変えたで「何で変えたの?」と怒られたりしましたね。

──どうしたら「何もわからない」状態からいち早く抜け出せるのでしょうか。

何ができたらこの仕事は終わるのか、面倒くさがらずに上司とコミュニケーションをとる癖をつけることですね。後から聞くのは絶対ダメです。

たとえば資料作成だったら、頼まれた瞬間に「誰に」「いつ」「何をする」ための資料なのかを確認してから手を動かし始めます。アウトプットの明確なイメージができることが、仕事を終わらせるための1番の近道です。

面倒くさがって「わかりません」を早い段階で言えずに視点がずれたまま作業をしたら当然怒られる。なので、早いうちに勇気を持ってわからないことを聞いておくことです。勘のいい上司だったら、最初から明確な指示を出して、わかっていなさそうだったら「アウトプットのイメージついている?」と聞いてくれると思うんですけどね。


【入社4〜6カ月】改善をする意識が生まれる「提案期」

・言われたことができる
・言われたことにプラスして、自分なりの提案ができる
・余裕があれば、仕事量をちょっと増やしてみる

──入社から4カ月〜6カ月経ってくると、少しずつ仕事に慣れてくる時期でしょうか?

3カ月で仕事に慣れていたら相当優秀だと思いますよ。もし頼まれた仕事をこなせるようになってきているのであれば、上司や先輩に提案ができるようになるといいですね。ただ言われた通りにやるのではなくて、「こうした方が良くないですか?」と提案する。コンサルの仕事に限らず仕事って基本的に何かしらの提案によってお金をもらうこと。どんどん提案できるようになるといいですね。

──提案ができるようになるためには、どうすればいいですか?

強制的に提案しなければいけない仕組みをつくってしまうのがおすすめです。たとえば、自分への評価の指標の中に「提案力」を入れてもらって、1週間に1回、上司に対して「今週は〇〇を良くしました」と説明する時間をつくる。それに対して上司からフィードバックをもらい続けたら、よりお客さんにとって意味のあることが考えられるようになるのではないでしょうか。

あともう一つ、物量をこなすことです。危機的状況に追い込まれれば、人は頭を使うようになるので、仕事を自動化したり、工夫の提案ができます。失敗したら大事故になりますけどね。


【入社7〜9カ月】人と比べ、自分を見失う「迷走期」

・このままでいいのか?と不安になる
・自分だけでなく周りが見られるようになる
・積極的に社外の人とコミュニケーションを取れる

──入社から半年経ちました。

このくらいの時期になると、「俺、このままやっていていいのかな」と1回方向性が見えなくなると思います。コンサル業界だと特に、仕事のサイクルが早いので入社9カ月で3つプロジェクトをやる同期も出てきます。それに対して自分が9か月同じことやっていたら焦りますよね。

でも、3カ月のプロジェクトでわかることなんて大してないんですよ。なので、1年くらい同じことやっていても全然いいと思いますけどね。同じお客さんに1年向き合って信頼を得られたりチームで存在感を出せたら十分です。

一方で、この時期になると、1つの仕事の中で中心的なはたらきができるスーパーマンも出てきます。自分が学んできたことをドキュメント化してチームに還元したり、自分だけではなくて、周りの人がより快適にはたらくための動きができたら優秀ですね。

──「スーパーマン」になるコツを知りたいです。

人と話すことじゃないですかね。雑談でも良いので、「最近どうしているんですか」「最近何か忙しいことありますか」「一緒にやれることありますか」と喋る。情報や上司の技、職場の人間関係を知ることができます。

そういうのは今の時代の1年目社員の特権だと思います。上司が部下を誘いにくい面もあるし、コロナ禍を経てオフィスに戻りつつある時期なので、今がチャンスです。性格的にそういうのが苦手な人もいるかもしれないですが、そうじゃなければ人と話した方がいいことは間違いない。


【入社9〜12カ月】人に指示が出せるようになる「躍進期」

・人に指示が出せる
・チームで価値を最大化する方法を考え始める
・コンサル業界では部下を持つ人も

──1年目も終盤に差し掛かりました。どのように過ごしたらいいでしょう。

コンサル業界で、かなり仕事ができる人だったら、1人くらい部下ができ始めます。人に指示して、自分と同じクオリティのアウトプットが出てくるかどうか、試し始める時期になります。

部下を1人抱えるとリソースは2倍。単純計算では2倍のアウトプットが期待できる体制です。ですが、理想は自分1人でやっていたことを、2人で2.5倍、3人で4倍5倍と価値を最大化させるための工夫を考えられるようになること。現実的には、そんな社会人2年目の人はあまりいないですけどね。

──1年で部下がつくのは早いですね…!人にうまく指示を出せるようになるにはどんなことを工夫すればいいのでしょうか。

インプット・アウトプットの指定です。「なぜ」「誰に」「何のため」に作るものなのか、アウトプットのイメージはどんなものなのかを先回りして指示することです。入社直後に自分がわからなかったことを先回りして伝えるようなイメージです。

「頑張ります」「集中します」は逃げかも?

──理想的な新卒1年目のロードマップでした。とはいえ、理想に追いつけない人もいると思うのですが、最低限、これをやっておくといいということはありますか?

やるべきことはたくさんあるのですが、抽象化していくと「目の前の仕事をちゃんとやりましょう」に尽きると思います。結局、スキルってその集合体でしかない。会社から言われたことを創意工夫して、昨日より今日、今日より明日良くなったと自分で説明するようにする。成長は、「質」と「量」で測ってみるとわかりやすいですよ。

たとえばぼくは議事録がある程度きちんと書けるまで1年かかりました。1年目時点で1,000回は盛りすぎですが、それぐらいの勢いで議事録をとりましたね。すると当然速度が段々上がっていくんですよ。

上司が本当に日本語に厳しい人だったので毎回直されたのですが、1年経って1〜2回のレビューで通るようになりました。日本語がちゃんと書けるというのはどの仕事でも活きる、一生使えるスキルですよね。1年目にそこを叩き込まれたのはありがたかったですね。意外とできてない人が多いので。


YouTubeでは仕事の作業環境なども公開。作業効率を上げるためのTipsも紹介されている

──単純作業や簡単とされていることを「ちゃんとやる」というのが案外難しそうですね。

精神論に逃げないことですね。「誤字脱字が多いね」と言われて、「もう一回集中してみます」「一所懸命確認してきます」と言う人がいるのですが、それでは変わらないんですよ。集中して一生懸命やった結果ミスが出るんだから、プロセスを変えなきゃ改善されないんです。

PCの予測変換の設定をするとか、自動チェックツールを使って誤字脱字を再度確認するとか工夫できますよね。精神論に逃げずに具体的な工夫をするのが大事です。その方法は世の中の書籍にたくさん載っているので、まずは本を買って勉強しましょう。

──今日教えていただいたことを実行できれば、「できる1年目社員」になれそうです。

全部やれたら相当できる1年目社員だと思います。ただ、これを言ったら元も子もありませんが、基本的に会社は新卒には期待していません。新卒がミスすることはみんなわかっているし、新卒ごときのミスで会社に重大なダメージが出るのであれば会社側がおかしいんですよ。

なので同じミスをしない仕組みを考えつつ、心の中で「別に新人のミスごときで慌てんなよ」って構えていればいいと思います。真に受けすぎずに他人事にするというか、「神の視点」で考えられると追い詰められても落ち着いていられます。神の視点、大事ですよ。

(文:白鳥菜都)

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ライター白鳥菜都
1999年生まれ。長野県出身。2021年3月東京外国語大学国際社会学部を卒業。大学在学中の2018年頃より、ウェブメディアにてライター・フォトグラファーの活動を開始し、2020年よりフリーランスのライター・エディターに。大学卒業後、コーヒーECのスタートアップPOST COFFEE株式会社に広報として入社。その後、2022年3月にWeb制作会社 株式会社ベイジにライターとして入社。現在も会社員をする傍らフリーランスでの活動も継続。

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