子育て中のママが夜中のコンビニではたらく理由とは

2021年11月24日

はたわらワイド編集部が、世に発信されているさまざまな個人のはたらき方ストーリーの中から、気になる記事をピックアップ。
今回は、自分にとっての「はたらき方」について語る「#私らしいはたらき方」投稿コンテスト で、グランプリを受賞した記事をご紹介します。

執筆者は、子育てしながら夜中のコンビニでアルバイトをしているもよもよさん。週に2回だけコンビニのアルバイトを続けている理由を、noteに綴りました。

残高7,880円の衝撃。子どもが眠る深夜に社会復帰

もよもよさんは、以前ホットヨガのインストラクターとして活躍していましたが、出産後は育児との両立を考えて仕事を辞めました。
「子どもが幼稚園に入ったらまたはたらこう」と考えていたものの、去年の3月にその考えが大きく揺らぐ出来事が起こります。

息子が4月からついに幼稚園入園ということで、入学金やら制服やらで久しぶりに大きなお金が動いた。 

ふと預金通帳の残高を見てみると、やばいことに気づいてしまった。

7,880円。

目を疑った。

この数字は、うめかわ家の全財産を表している。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

出産後は旦那さんの給料だけで暮らしてきたもよもよさんですが、1万円を切った預金通帳にはなんともいえない恐怖を感じたそうです。
その矢先、さらに大きなピンチに見舞われます。

「コロナのため、幼稚園の入園を延期します。」

え?じゃあ私、いつ働けばいいの?
もう一刻の猶予もないのだけれど。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

強い危機感を抱いたもよもよさんは、目についたコンビニの夜勤アルバイトにすぐさま応募。

週2回で1か月7万円稼ぎ、なんとかピンチを乗り切りました。

それからは「お金」にちゃんと向き合うようになり、毎月の出費を見直した結果、安心できる数値が預金通帳に刻まれるようになったそう。

ただ、その後も

21時に息子と一緒に寝て、
23時に起きてコーヒーを飲んで、
23時45分に家を出て自転車をこぎ、
0時から7時まで働く。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

という生活を1年以上続けているそうです。

「育児中のママ」と「夜中のコンビニでのアルバイト」は意外性のある組み合わせです。
なぜお金に余裕ができても、夜勤アルバイトを続けているのでしょうか?

ママが夜中のコンビニアルバイトを続ける2つの理由

続けている理由は大きく2つあります。
1つめの理由は「ママの私にとってはすごく便利なアルバイト」だということ。

だって息子が熱を出したとき、職場に連絡して自分の代わりを見つけたりすることもなく、一緒にお家でグーグー寝られる。

幼稚園が嫌いな息子が、どうしても幼稚園を休みたい日に休ませてあげられる。

朝のグズグズに、のんびり付き合ってあげられる。

「時間に追われること」「焦らされること」に対して、異様にストレスを感じてイライラしてしまう私にとっては、なおさらありがたいアルバイトだ。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

子どもが眠る夜は、唯一子育てから手が離れる時間。
その時間にできる仕事であれば、子育て時間と仕事時間を切り分けた生活ができます。
いざというときに仕事を調整しなくても子育てに時間を割けることは、はたらく親の心を和らげてくれるものです。

もう1つの理由は、夜中のコンビニでのアルバイトが心のバランスを保ちやすいはたらき方だったからです。

もよもよさんは
「心の中に熱い情熱があるものの、それを仕事にする方法がまだわからない」
「まだ手のかかる子どもの育児をしながら、熱中する時間も十分なお金もない」
という状況にいました。

これからのはたらき方を模索している状況において、

夜中のコンビニで1人、
のんびりコーヒーメーカーを洗って
フライヤーを洗って
床やトイレをピカピカに磨いて
商品をキレイに並べて
レジを打つ。

そしてたっぷり休憩する。
スマホをいじったり、本を読んだり、こうやって文章を書いたり。

やりがいもあまり感じないけれど
なんのストレスも感じない。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

というコンビニ夜勤は、体力的、精神的に無理せずお金を稼げる方法だったのです。

もしもっとやりがいのある仕事だったら、忙しくストレスフルな仕事だったら……
自分の内側に眠る願望を見つめ直したり、育児と両立して子どもとじっくり向き合ったり、これからのために何かに熱中したりする余裕は生まれなかったかもしれません。

「やりたいこと」や「やりがい」だけが正解ではない

やりたいことが見つからない、やりたいことに踏み切る勇気や余裕がない――。
そんなモヤモヤを抱えている人はたくさんいます。

でも、たとえ劇的な変化を迎えられなくても、人は少しずつ自分のペースで変わっていくもの。

もよもよさんも

でもきっと放っておいても、気づかないくらいにゆっくりと、そのバランスは変化していくんだろう。

息子が気づかないくらいにゆっくりと私から離れていって、息子と過ごす私が小さく小さくなっていく。もう2人の私のどちらかがその余白を埋めて、また3人の私は絶妙なバランスをとる。

そんなことをしながらも、自分のやりたいことをコツコツと続けていけば、それがお金になる日だってくるかもしれない。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

と、これからの自分を見つめています。

もともとアクティブにデザインやヨガを学んでパワフルに動き回っていた過去を知っている人からは心配されることもあるそうですが、育児中のもよもよさんにとっては今の生活がベストなバランスなのです。

また、もよもよさんの中には

淡々と夜中のコンビニで働いて、現実的にお金を稼ぐ私。

情熱を大切に、お金のことを考えすぎずに、今やりたいことに力を注ぐ昼間の私。

今はなによりも愛おしい息子と、かけがえのない時間を過ごす私。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

という「3つの私」がいて、

その3つの私が、絶妙なバランスをとって過ごしているような、ここ1年だった。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

と振り返ります。
「3つの私」が無理せず共存するために、マイペースにはたらける夜中のコンビニアルバイトが必要だったのでしょう。

そんな生活を送る自分を受け入れるようになったことも、深夜のコンビニアルバイトを経て生まれた変化のひとつ。

その感覚はきっと、自分自分と自分のことで頭がいっぱいで、自分の夢や目標を実現することが1番の幸せだと疑わなかった私が、「母」になった証かもしれないなと思う。

いろんな幸せの形があって、そのときどきで幸せを感じる絶妙なバランスも変化していく。今はそのことを、自分の人生を通してちゃんと知っている。

ママの私が「夜中のコンビニ」でアルバイトをする理由。より

もよもよさんのエピソードからは、夜中のコンビニではたらく中で、これまでの仕事観がゆるやかに変わり、視野が広がっていく様がリアルに伝わってきます。

強いやりがいを感じる仕事やはたらき方だけが正解ではありません。
そのときどきの自分や環境によって、ベストな仕事やはたらき方は変わるもの。
自分を決まった枠に押し込めず、しなやかに形を変えていくことが心地よくはたらく秘訣なのかもしれません。

自分が何に幸せを感じるのか、どんな幸せの形を望んでいるのか。
もよもよさんのように自分と向き合いながらはたらいて新しい一歩を踏み出せたら、人生は、真に自分のものになっていくことでしょう。

もよもよ(セラピスト)
「手」と「文章」を使って、ママさんの心と体を軽くするお手伝いをしたい人。リラクゼーションサロンで働きながら、5歳息子に育てられている日々のことを綴っています。サロンを開くのが夢。愛猫家。大阪在住。自己紹介はhttps://yomogi.link/hello/

パーソルグループ×note 「#私らしいはたらき方」投稿コンテスト

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