「3年は続けるべき」は本当?新卒1年目で転職して気づいたこと

2023年5月26日

はたわらワイド編集部が、世に発信されているさまざまな個人のはたらき方ストーリーの中から、気になる記事をピックアップ。
今回は、新卒1年目で転職したエピソードについて語った記事をご紹介します。

プライベートを重視していた雨ゆさんは、就職活動で福利厚生が整っていてしっかり休める会社を探し、新卒入社します。しかし実際にはたらいてみると、休みがあるはずなのに休まらない日々。数カ月で「転職したい」と感じたものの、周りからは「3年は続けるべき」と非難されます。そこから仕事の選び方を見直したエピソードを、noteに投稿しました。

※本記事の引用部分は、ご本人承諾のもと、投稿記事「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」から抜粋したものです。

「最低でも3年は続けるべき」は本当か?

「会社を辞めたくても、3年は続けるべきだ」
社会人であれば、だれしもこの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
特に新卒が言われやすい言葉で、雨ゆさんも社会人1年目でこの言葉を言われました。

仕事に対する想いや希望は特になく、プライベートさえ楽しく過ごせれば十分。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

そう考えていた学生時代の雨ゆさんは、福利厚生や手当が充実していて、有給取得がしやすく、残業がほとんどない会社に営業職として新卒入社しました。
ところが、入社からわずか数カ月しか経っていない夏には「この会社にいていいんだろうか?」と悩みを抱えていました。
心の負担になっていたのは、直属の上司です。

感情を優先して、感情に則って行動する人だった。怒るポイントや教えられる業務内容が日によって異なり、矛盾箇所を確認すると罵られた。いつまで経っても仕事を覚えられず、毎日家を出るのが憂鬱だった。

休みの日もずっと仕事のことを考えていたり、1人で外回りをしているときに突然泣き出すことが増えたりして、考えた。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

プライベート優先で仕事選びをした雨ゆさんは、職場の人間関係をあまり重視していませんでした。
実際に会社に入ってみないと分からない部分でもあり、想定外のストレスを抱えてしまったのです。
このまま無理してはたらき続けたら、きっと自分が潰れてしまう。
そう危機感を感じたそうです。

完全に潰れてしまったら、もう立ち上がれないかもしれない。転職活動をしたところで、自分の長所や自己PRを自信を持って話せないのではないか。人と話すのが怖くなっているのではないか。

いまならまだ、自分が好きだ。人の目を見て話すことも、いまならまだできる。辞めよう。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

転職を決意して周囲に伝えたものの、そこで言われたのが冒頭の言葉です。
親からも、直属ではない上司からも、

「考えが甘い。最低でも3年は頑張らないと転職したってどうせ続かない。異動になれば上司だって変わるんだから、耐えるべきだ」

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

とたしなめられました。

あらゆる年代の人々が昔から発する言葉ですから、迷っていたら言われたまま従う人も多いでしょう。
ただ、雨ゆさんはこの言葉を鵜呑みにしませんでした。

 “ 最低でも3年 ” ってなんだろう?

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

と疑問を抱き、3年という期間の根拠を考えましたが、退職金とも失業保険とも関係ありません。結局

私の貴重な3年を、こんなところで浪費するわけにはいかない。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

と転職を決断し、行動に移しました。

「すぐに逃げる」のはいけないことか?

転職を決めたものの、これまでの経験を無駄にしないようにと慎重に進めました。
自己分析に1カ月、面接に2カ月をかけ、じっくり次の会社を選んでいきます。

雨ゆさんが特に重視したポイントは、次の3つです。

やりたい仕事と向いている仕事。
譲れない箇所と妥協できる箇所。
自分の長所と短所。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

このとき初めて「やりたい仕事」について考えた、と言います。
もともとはプライベートを優先していたので、仕事についてはそこまで深く考えず、条件で会社を決めていました。

しかし、今回の経験を経て

勤務外の時間を充実させたいと考えるならなおさら、仕事は真剣に選ぶべきなのに。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

と反省したそうです。

やりたくない仕事をしていると、本来大切にしたいプライベートの時間も、ふと仕事のことを思い出すたびに憂鬱な気分になってしまいます。
楽しく幸せな時間を守るためにも、自分が望む仕事を選ぶべきだと考えるようになりました。

そうして転職活動に向き合った雨ゆさんが「やりたい」と感じて選んだ仕事は、経理職でした。
今までの営業職とは全く違う職種ですが、自己分析するなかで、もともと数学や計算、そして簿記が好きだったことを思い出したのです。
新卒では採用枠がありませんでしたが、中途だと採用枠が見つかりました。

実際に経理の仕事を始めてみると、雨ゆさんに合っていることが分かりました。

相手の感情や機微を読み取って臨機応変に対応するのは苦手だが、ルールやデータに基づいて処理をするのは得意だった。相手に意見を主張するのは苦手だけれど、当たり障りのないやり取りや会話をするのは好きだった。
自分にも得意なことがあったんだなと少し安心したのを覚えている。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

新しい職場では、上司から感情的に怒られることもなく、はたらき方も変わっていきました。
以前は書類処理では無難なマーカーの色を選ぶなど、怒られることを無意識に恐れたゆえの癖がついていたのですが、気にせず好きな色のマーカーを使えるようになったのです。

自分にとってはそんな当たり前の行動ができなくなっていたことに気づいたとき、

「あのときすぐに決断できて、逃げられてよかった」

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

と心から思い、無理に頑張らなくてよかったと実感できたそうです。

また、雨ゆさんは新しい会社で採用担当になり、面接官として採用側に立ったことがあります。
そのとき気づいたのは

「こんな人いらない」と不採用にするパターンはかなり少ない

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

ということ。

たとえ優秀な人材でも、社風と合わなかったり、求められる条件に応えられなかったり、むしろスキルが高すぎて持て余してしまったりと、相性の問題で不採用にしたケースがほとんどでした。

仕事がうまくいかないと自分のダメなところばかり目について、自己評価が下がってしまいがちですが、会社や職種を変えれば受け入れられ、評価されるかもしれません。

仕事の選択で最優先した軸とは

かつて雨ゆさんが転職の意思を伝えた際に言われた

「最低でも3年は頑張らないと転職したってどうせ続かない」

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

という言葉は、転職が当たり前になった今の時代でもよく聞かれます。

確かに3年間続けることで、できないことができるようになったり、はたらく楽しさが見つかったりするかもしれません。
続けなければ見えない景色が見えるのかもしれません。

ただ「3年」という期間に明確な根拠があるわけではなく、もっとつらい思いをしたり、時間を無駄にして後悔したりする可能性もあります。
おそらく、正解はないのでしょう。

そして雨ゆさんにとっては、しんどい思いをして泣きながら旧職を続けるのは“正解”ではありませんでした。

「死ぬ気でやれよ、死なないから。」って言葉、ときどき耳にするけれど大嫌いだ。自分を鼓舞するなら良いけれど、人に向かって発すると凶器にすらなると思う。
動けなくなってからでは逃げることもできない。もちろん逃げることだけが正解ではないけれど、耐えることでその先が見えることもあるけれど、自分の心身をいちばん優先するべきだと思う。
周りがなにを言おうと、どうせ誰も責任なんて取ってくれないのだ。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

雨ゆさんは自分の心身を守るため、今いる場所から逃げることを選択したのです。
そしてそれは、自分を幸せにするための選択でもありました。

耐えるのも逃げるのも、しんどい思いをするのも楽な道を選ぶのも全部全部自分で決めていいし、どの選択だって悪くない。
でもどうか、その選択は世間体とか周りへの配慮ではなく、自分を幸せにするためのものであってほしいと そう思う。

「就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと」より

仕事に悩むとどうしたらいいか分からなくなり、周囲の言葉に心が揺らぐこともあるでしょう。
そんなときは、雨ゆさんのように
「自分の心身をいちばん大事にし、自分を幸せにする選択肢は何か」
を軸に考えたら、自分の答えが見つかるかもしれません。

【ご紹介した記事】
就活と転職のことと、面接官をして改めて思ったこと

【プロフィール】
雨ゆ
20代 社会人。日々の記録や考えたことを書いています。

(文:秋カヲリ)

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エッセイスト・心理カウンセラー秋カヲリ
1990年生まれ。ADHD、パンセクシャル、一児の母。恋愛依存や産後うつなどを経験し、現在は女性の葛藤をテーマにしたコラムを中心に執筆。求人広告→化粧品広告→社史制作→フリー。2018年にYouTuberメディア『スター研究所』を公開、2021年に『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』を出版。

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