“話せる公式” サブウェイ公式Twitter運用で、学生が大活躍!「任せる」ことで実現したファン重視のマーケティングとは

2021年10月28日

“話せる公式”をモットーに掲げるサブウェイの公式Twitterアカウントが話題を呼んでいます。開設こそ2009年と古参のアカウントですが、2018年の時点で17万人だったフォロワー数は、2021年10月現在、約69.4万人と急増中。

人気の秘密はずばり、企業の公式アカウントとは思えないゆるめの語り口や、友達感覚でファンと対話をはかる気さくさでしょう。

フォロワー数の増加とともに、低迷していた店舗の売上げもV字回復。好調を支えているのは、「ファン重視のマーケティング」の施策の数々でした。日本サブウェイ合同会社の共同代表兼マーケティング本部長・鈴木孝尚さんに、取り組みの全容をお聞きしました。

マス広告を大幅に減らし、大胆なデジタルシフトを敢行

――最近、Twitter人気も手伝って、サブウェイは非常に元気なイメージがありますね!

そうです。実は今、ありがたいことに売上げもたいへん好調ですよ。サブウェイは世界最多の店舗数を誇る巨大チェーンですから、もともと高いポテンシャルを持っている企業です。

私は3年前にCMO(Chief Marketing Officer)としてサブウェイに入社して以降、そのポテンシャルを活かす手法を模索してきました。最近の好調ぶりはその成果の現れだと思っています。

日本サブウェイ合同会社 共同代表兼マーケティング本部長 鈴木孝尚さん

――具体的には、どんな改革を?

マーケティングチームでは、大きく3つのことに取り組みました。

まず、縦割りだった組織構造を見直し、一つの目標を横並びで、ワンチームにて共有できる組織体制にしました。

次に、より専門的な知見を組織に入れるべく、社外のプロに多数参画いただきました。今、サブウェイのマーケティングチームは、制作や企画・PRなど、その大部分で、外部の企業さまやフリーランスの方々にご協力をいただいています。社員を含めて、現在は30名ほどの組織になりました。ちなみにその内サブウェイの社員は私を含めて3名だけです。

ただ単に参画者を増やすだけではなく、社外の方も含めて情報や意思決定の過程をオープンにすることで、真のワンチーム体制を実現できていると考えています。

そして3つ目は、広告戦略の転換です。それまでマス広告中心だったのを大幅に減らして、SNSに注力するようにしました。

――マス広告を大幅に減らしてSNSを中心にマーケティングを行なうというのは、非常に大胆な取り組みに思えます。なぜSNSに着目されたのでしょう。

サブウェイは都市部に店舗が多いためか、お客さまのデジタルリテラシーが高い傾向にあるのです。デジタルを用いてアプローチしたほうが、マーケティングとしては効果的であると考えました。

また、サブウェイは昔から一部に熱烈なファンがいてくださって、会社が厳しい状況にあるときも、ネット上から応援メッセージをたくさんいただきました。

――たしかにSNSとの相性の良さを感じさせますね。外食チェーンの中でも、独特なポジションにあると思います。

そうですよね。そこで、そうした特性をもっと活かすために、SNSを使って、もっとファンを大切にしたマーケティングに取り組むべきと考えたことが、こうしたデジタルシフトにつながっています。

SNS上でのコミュニケーションというのは、友人からの口コミが絶大な効果を発揮します。つまりSNSは、ファンを一人獲得すれば、そこから派生してファンが増えていくようなことが起こりやすいメディアと言えます。

また、ある調査によると、消費者が最も信頼する広告は「友人や家族からの推薦」であるというデータもあります。そこで、ファン重視のマーケティングとして、とにかくSNS上での接触回数を増やすことにしました。

Twitterの“中の人”にインターン生を起用


――サブウェイの公式アカウントは、フォロワーに対して気さくに語りかけたり、コメントにリプライしたり、非常にアクティブな運用が目を引きます。

こうしたアクティブサポートは毎日欠かさず、1日平均50件ほどのリプライを返しています。また、「話せる公式アカウント」として認知されるよう、積極的にツイートする方針を徹底しているため、ランキングサイト「meiyou.jp」の企業部門では、今現在、累積発信数で第3位をマークしています。

――そのように積極的な発信を続けながらファンを増やしていくというのは、決して簡単なことではないですよね。まずは、どこから手をつければいいのでしょうか。

我々が最初に取り組んだのは、「人」の部分です。以前はプロの協力会社にSNS運用を依頼していました。

しかし、おじさんたちが無理してSNSを頑張るよりも、デジタルネイティブである若い世代にお任せしたほうがいいのでは?と思い、インターン生中心の体制に変えました。現在、総勢30人で公式アカウントを運用しています。

――え、インターン生ということは、大学生ですか?

そうです。SNSで何をやるかという企画立案も、以前はプロに任せていましたが、これも基本的には“中の人”であるインターン生が担います。クリエイティブ面の制作についても、やはり美大生や専門学生のインターン生が活躍しています。

今の学生はすごくて、プロ顔負けのものをつくるんですよ。実際にサブウェイのSNSを見ていても、ほかのアカウントとのクオリティとは遜色ないと思いませんか?

インターン生の活動の様子

――たしかに。それにしても、積極的にプロが参画している組織の中で、インターン生を起用されているというのは驚きです。

もちろん、インターン生であっても対価はお支払いしていますが、我々企業としては、デジタルネイティブである彼ら若者の知恵をお借りできるというのは、普通のやり方では得難いメリットなんです。

一方、彼らにとっても、裁量を与えられていることがモチベーションになると思いますし、何よりも企業でSNSマーケティングを経験した実績を、後の就職活動において大いに強みにしていただいています。

――つまり、企業と学生、互いにメリットがあるということですね。

その通りです。ただし、以前は一企業の公式アカウントとして、炎上リスクを極力排除するよう徹底していましたが、現在はある程度リスクも受け入れる方針でやっています。

ゼロリスクを求めるあまり、おとなしいアカウントになってしまっては意味がないですから、インターン生たちにはとにかく自由にやってもらって、アクティブなアカウントとして運用し続けるほうを選んだということですね。

おかげで、企業としても効果的なSNS運用が実現し、フォロワー数も増え、SNSでの活動が社内外から評価されるという、理想的な循環が生まれました。

ワンチームで、ファンに愛されるアカウントに

――中の人であるインターン生の企画では、どのような企画が実現したのでしょうか?

たとえば、Twitter上で「メキシカンミートタコス」と「腸活サンド チキンandチーズ」、どちらが好きか人気投票を開催したり。サブウェイに絡めた俳句を募集したり。さらにはTik Tokでも著名ティックトッカーとのコラボ企画を自発的に決めてきたり。本当にありとあらゆることを大人にはない発想で実現してくれています。


――そうした企画に対して、会社側はどの程度干渉しているのですか?

自分がよく分からないなと思ったとしても、基本的には「いいからやっちゃってよ」と言うようにしています。だって、カルチャー的に理解できないからと言って、上の世代からストップをかける理由はないですから。ある程度の炎上リスクを受け入れるというのは、そういうことでもあると思うのです。

――本当に、インターン生たちが自由に活動している様子が目に浮かびます。

実は、そうした学生たちの企画力と行動力に刺激を受けて、プロのクリエイターからも面白い企画が上がってくるようになりました。これはうれしい誤算でしたね。お互いに高め合いながら、さらにいい循環が生まれていると思います。

学生に刺激を受け、プロが企画した本気のエイプリルフール企画。
この企画もTVで取り上げられるなど大きな反響を呼んだ

――そうした取り組みの積み重ねで、今ではすっかり「サブウェイのアカウントは何か面白いことをやりそうだ」というムードが醸成されていますよね。

そうやって高いエンゲージメントを維持していると、何か企画を投じれば、それに対する反響も得やすい状態になります。直近1年間で6度もTwitterのトレンド入りを果たせたのも、まさにその成果です。

TVなどのマス広告との大きな違いは、TV広告はたとえ100万人に見られたとしても、次回はまた0からのスタートです。しかし、SNSのフォロワーは累積なので、それまでの反響を次に活かすことができます。ファンの皆さんの声を、次の企画にもどんどん取り入れていきたいですね。

――こうした好循環は、インターン生の起用から始まっています。その意味では、消費者だけでなく、サブウェイに関わる人すべてが、サブウェイのファンになっていることが、最大の強みなのかもしれませんね。

そうですね。こうした取り組みを続けて、フォロワー数やエンゲージメントはこれからも上げていきたいですね。今後も、社外の方やインターンの方も含めたワンチームで、成長基調を守っていきたいと思います。

(文・友清哲  画像提供・日本サブウェイ合同会社)

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ライター&編集者友清哲
紙もWebもオールジャンルで寄稿中です。主な著書に『日本クラフトビール紀行』『物語で知る日本酒と酒蔵』『作家になる技術』『消えた日本史の謎』『一度は行きたい「戦争遺跡」』ほか。
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