上智卒の筋肉女子コスプレイヤーが一般企業ではなく、インフルエンサーの道を選んだ理由。

2024年2月28日

172㎝8.5等身という抜群のプロポーションで「2.5次元ボディの持ち主」と呼ばれる人気コスプレイヤー・桃戸ももさんは、自他ともに認める筋肉オタク。その筋肉を活かした“ジョジョ立ち(漫画『ジョジョの奇妙な冒険』で出てくるポーズ)”は20万超のいいね・3万超のリツイートを獲得しました。女性ながらたくましく鍛え上げられた肉体に憧れる人も多く、肉体美が際立ったコスプレ写真が何度もバズり、トレーニング本も出版しています。

コスプレ写真を交えたトレーニング本「尊トレ 1カ月で2.5次元ボディ(星天出版)」

桃戸さんは芸能界を志しながら上智大学を卒業し、就活やインターンを経た経験もあります。悩んだ末に21歳で芸能界デビューして人気インフルエンサーになった桃戸さんに、どうやってファンを増やし新しいキャリアをつくっていったのかを伺いました。

「バズる」と「ファンになる」の違い

――ジョジョ立ちの写真を撮ったきっかけは?

芸能活動を始めて間もなくコロナ禍になり、家でできる筋トレやSNS更新くらいしかやれることがなかったんです。当時はがっつり筋トレしている女性コスプレイヤーがいなかったので、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくるキャラの筋肉を目立たせる写真を公開するようになり、その流れで肉体美を際立たせるポージングである「ジョジョ立ち」の写真を撮ったんです。

当時はレースクイーンとコスプレの2軸で発信をしていて、Twitter(現X)にはレースクイーン用のアカウントとコスプレ用のアカウントを作りました。最初はレースクイーン用のアカウントで1日1枚「ジョジョ立ち」の写真を公開していたんですが、それを4枚まとめてコスプレ用アカウントでツイートしたんです。じわじわ5万人くらいまで伸びていたフォロワーが一気に10万人になって、びっくりしました。

――レースクイーン用のアカウントとコスプレ用のアカウントがあるんですね。

もともとレースクイーンの仕事が多くて、コスプレはあくまで趣味だったんです。Instagramのストーリーに趣味で撮影したコスプレ写真を投稿したら、所属事務所のスタッフさんが「こんなにクオリティが高いコスプレをしているなら、絶対発信したほうがいいよ」と言われて、2020年にコスプレ用のアカウントを作りました。

身長172㎝の鍛えた肉体がほかのコスプレイヤーとの差別化になり、1年足らずで男装コスプレの仕事依頼がくるようになりました。フォロワーも順調に増えていって、今ではコスプレ用のアカウントのほうがフォロワー数が多いです。

――やはりファンを増やすにはバズるのが大事なんでしょうか。

確かにバズれば認知されやすくなりますが、「バズること」と「ファンが増えること」はまったくの別物です。バズるのはパッと見て「すごい」と思える分かりやすいもの。ジョジョ立ちはスタイルや筋肉が分かりやすく、「筋肉×女性」というギャップある組み合わせが受けたんだと思います。

ただ、「すごい」という感情でバズるだけだとファンは増えないんですよね。ファンになるのは「この人にしかないもの」を感じ取ってもらったとき。ほかの人でも代替できる要素じゃ、ファンになるほどの熱量は生まれないんです。ファンを増やすには、ほかの人にない強みを探すのが大事だと思います。

――桃戸さんの場合は、何が「桃戸さんにしかないもの」になりましたか?

私はちょっとチャラそうな男性キャラのコスプレが受けます。著書のトレーニング本『尊トレ』でコスプレしたバンドマンがまさにそうで、髪型や服装、ポージングでルーズな雰囲気を出しつつ、世界観を表現しました。

バンドマンのコスプレ(「尊トレ 1カ月で2.5次元ボディ(星天出版)」より)

タンクトップで上腕の筋肉をしっかり見せていて、この写真を待ち受けにしてくれているファンも多いです。特に反響が良いコンテンツには、自分にしかない強みが出ているんじゃないでしょうか。

顔よりも筋肉が強みになった

――コスプレを始めたのはいつですか?

高校2年生です。所属していた家庭科部ではファッションショーを開催するほど本格的な部活動を行っていて、自分でコスプレの衣装を作り、その衣装を着用して体育館の特設ステージを歩きました。漫画やアニメが大好きなので、それからプライベートでもコスプレを楽しむようになったんです。

でも、受験期から大学3年生まで勉強やプライベートで忙しく、コスプレからは遠のいていました。再開したのは、大学4年生になって企業に就職するか芸能界に挑戦するか迷って1年間休学した時です。それからは趣味として続けていました。

――休学期間は何をしていたんですか?

企業のインターンに参加していたんですが、同時に芸能事務所のオーディションにも応募して、その場でスカウトされて21歳で芸能活動をスタートしました。そのタイミングで「企業ではたらくのも楽しいけど、やっぱり芸能界で頑張りたい」と決めたんです。

芸能界に入ってすぐに女子ゴルフトーナメントのプロアマ大会でサポートガールをしたり、日本最大級のファッション&音楽イベント「ガールズアワード」のステージに立ったりして、「モデルになりたい!」と思うようになりました。

――華やかなスタートですね。その後はどんな活動をしていたんでしょうか?

レースクイーンのオーディションに受かって、約2年間はレースクイーンの仕事を中心に活動していました。レースクイーンの仕事って意外と過酷なんです。所属しているチームの試合がある日は、ほぼ1日フル稼働です。ドライバーさんに日傘を差したり、立ちっぱなしで1~2時間の写真対応をしたり……ずっと高いヒールを履いたまま走り回っていました。当然疲れますが、チームの広告塔を担っていて常に笑顔は絶やしちゃいけないので鍛えられましたね。

――レースクイーンだと筋肉はそれほど必要じゃない気がしますが、なぜ本格的な筋トレを続けたのでしょう?

ファンを増やすためSNSに力を入れていたんですが、そこで改めて「自分の強みってなんだろう?」って考えたんですよね。自分よりかわいい子や綺麗な子はいくらでもいるから、普通の自撮りを公開するだけじゃ見てもらえません。

ほかの女性芸能人と違うところと言えば、鍛えている体。それが自分だけの強みになるんじゃないかと思い、ダイエット中に全身写真を毎日上げたり、ボディラインが分かりやすいトレーニングウェアを着た写真を上げたりして、“筋肉キャラ”を押し出していきました。

女性コスプレから男性コスプレまで行う桃戸さん(「尊トレ 1カ月で2.5次元ボディ(星天出版)」より)

――鍛えた肉体を活かして、フィットネス系の仕事も行っていますね。どんなオーディションを行うんでしょうか?

もちろん肉体も見られますが、言葉で伝える自己PRもあり「企業が自分に何を求めているか」を考えて話します。フィットネス系のオーディションは“鍛えあげられた肉体”を求められていると思い、ボディメイク大会での優勝経験を伝えました。

あと、無理に多くしゃべらず、企業側に質問してもらう時間も作るようにしています。ほかにもたくさん応募者がいますから、一方的に話しても面接官はすべての情報を覚えられません。アピールポイントだけしっかり伝えたら、あとは会話してコミュニケーションをしたほうが印象に残ると思っています。

逃げ道を作ってから挑戦したっていい

――筋トレを始めたきっかけは?

20歳の時、アルバイト先の先輩からすすめられて始めました。当時はこれといった趣味がなく、何か打ち込めるものが欲しかったんです。

21歳で初めてボディメイクの大会に出て、優勝できなかったのが悔しくて、22歳から本格的なパーソナルトレーニングをするようになりました。それからボディメイクの大会で何回か優勝しています。

――かなり絞っていますね!筋トレをして大会でも好成績を残したことで、何か変化はありましたか?

自信がつきました。筋トレするまではマイナス思考で「できない」と思ってしまうことが多かったんですが、筋トレは努力すればするほど目に見えて体が変わっていくので「やればできるんだ」と実感できたんです。

自信を持っていたほうが仕事はうまくいきます。特に人前に出る仕事は、不安そうな顔をしていたらうまくいきません。笑顔で人前に出て、自分の意見を言えるようになったと感じます。初めての著書として、トレーニング本「尊トレ 1カ月で2.5次元ボディ(星天出版)」を出すこともできました。

――桃戸さんは一般企業への就活を経て芸能界への道を選びましたが、不安定な道を選ぶのに抵抗がある人も多いです。やりたいことをやるかやらないかで迷ったら、どうしたらいいでしょうか?

逃げ道を残した選択をしてもいいと思います。私は高校生の時から芸能界に入りたいと思っていましたが、受験勉強をして上智大学に行き、休学をしてインターンや就活も経験しました。芸能活動がうまくいかなかった時の保険が欲しかったからです。休学中に受けたオーディションで手応えがなかったら、芸能界はあきらめて企業に就職していたと思います。

やりたいことに踏み出すのが不安だったら、自分が安心できる状態を作ってから挑戦するほうがやりやすいんじゃないでしょうか。背水の陣で臨んでもいいけど、うまくいかなくてメンタルをやられてしまったら元も子もありません。どの道を選んだとしても、そうやって選択肢を広げた上での決断なら後悔しないと思います。

私も将来についてはまだ模索中ですが、今は女優業に興味があり、舞台に出演して活動の幅を広げています。これからも自分の可能性を狭めず、やりたいことに広く挑戦していきたいです。

(文・秋カヲリ 写真・桃戸ももさん提供)

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エッセイスト・心理カウンセラー秋カヲリ
1990年生まれ。ADHD、パンセクシャル、一児の母。恋愛依存や産後うつなどを経験し、現在は女性の葛藤をテーマにしたコラムを中心に執筆。求人広告→化粧品広告→社史制作→フリー。2018年にYouTuberメディア『スター研究所』を公開、2021年に『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』を出版。

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