「好き」は身を助ける!?タレント・高本采実が「釣り」で勝負するワケ

2021年12月8日

仕事を選ぶときに「自分の好き」を優先するか、「安定」を求めるか。そんな選択を迫られたら、あなたはどうしますか?

今回は、自分の得意な「魚」というジャンルを活かし、釣りタレントとして活躍する高本采実さんにインタビューを敢行。「好き」を仕事にするまでの経緯を伺いました。

「海に関わる仕事がしたい!」その先にあったのが、釣りだった

──まず、高本さんが今に至るまでのお話から聞かせてください。

幼いころから、漠然と「海に関わる仕事がしたい!有名になりたい!」という思いはありました。ですが、当時はまだ子どもですし具体的にどんな仕事があるのか分からず。興味のあることはたくさんあったので大学に進学しようとなって。昔から海が好きだったことが決め手で近畿大学の水産学科に入学しました。入学するまでは、釣りをしたことはなかったけど、やってみたいなあという興味はあって。

──てっきり、小さいころから釣りをしていらっしゃったのかと。

釣りへの好奇心から、入学してすぐに「釣りをしてみたい!」と、友人に伝えて5〜6人で釣りに行ったんです。その場所が、上級者でも釣るのが難しいスポットだったんですが、なぜだか私だけ立派なクロダイが釣れて。そのときのうれしさが忘れられなくて、そこから釣りの世界に魅かれていきました。

昔から好きなことにはトコトンのめり込むタイプで、大学3年生の時には1人で竿を担いでバス釣りに行き、翌年には船に乗って海釣りもするようになりました。

──釣りへの好奇心からハマったんですね。大学時代は、釣りだけでなく大学内のアイドル活動やミスコンへの出場もされていましたよね。

私、高校生まで父に髪を切ってもらっていたり、オシャレや美容に対してどちらかといえば無頓着だったんです。でも、大学に進学した時に美容師さんに声をかけられてサロンモデルをはじめて。それから、美容やファッション、モデル……といった活動に興味が出ました。

近畿大学にはつんく♂さんがプロデュースする「Kindai girls」というアイドルグループがあって、「楽しそう!」と思いオーディションを受けてみたら、合格したんです。ミスコンも、運営の方に声をかけられ、悩みましたが、せっかくなら出てみよう!と思って出場したら、準グランプリをいただけて。最終的にはミスオブミスという全国のミスコン出場者が一堂に会すコンテストにも参加することができました。

「Kindai girls」として活動されていた時代の高本さん。歌もダンスも未経験だったそう。

──そういった経歴を学生時代に歩んでも、就活は、一般企業を志向する人が多いかと思います。高本さんがそういう道を歩まなかった理由を聞かせてください。

大学院に進学し、モデル・タレント活動も続けたい気持ちが7割、親に心配をかけない為に就活して、就職する気持ちが3割。就活の時期にこのような気持ちだったので、もしもの保険のために、就活をしました。

しかし、大好きなサメの研究を続けたい思いが強かったのと、就職を選ぶと「今しかできないやりたいこと、好きなこと」ができなくなると思い悩んだんです。最終的には内定を辞退し、大学院に進学しました。当時は、ヘアカタログのモデルや、広告のモデル、あとは、リポーターのようなタレントのお仕事もさせてもらっていました。

大学院に通いながらということもあり、モデル・タレント活動の時間にも制限はありましたが、自分を見て憧れてくれる人がいたので、もっと誰かの「楽しみ」になりたいという思いがすごくあったんです。それが、自分にとってはやりがいにも繋がることだと思って。だから、タレント活動を続けてみようと決断しました。

──周りの友人の反応はどうでしたか?

就職しないで進学。さらに芸能活動を続けるっていう人は周囲にほとんどいなかったのですが、友達は「私らしい選択」だとすんなり受け入れてくれたり、「好きなことをする」ことの方が私の性に合っていると後押ししてくれました。私自身、自分が今やりたいことや好きなことを重要視するタイプなので、とにかく好きなことをやり通し、前に進み続けて今がある感じですね。

好きを仕事にする近道は、自分の強みを見つけて研究すること。

──釣りにまつわるお仕事をするようになったのは、いつごろからなのでしょうか?

大学院に通いながら芸能活動を続けていた時代は、モデル事務所に所属していました。その時は、いわゆるアパレルなどのカタログモデルとかをしていました。

大好きな海や釣りに関わる仕事がしたいという思いはずっとあって。一方、趣味で釣りをすることも増えてきた、そんな最中、有難いことにご縁を頂いたのが「ルアルアチャンネル」でした。

釣り番組の出演が決まった時は本当に嬉しかったです。今も楽しくお仕事をさせて頂いており、とても幸せです。また、釣りタレントというジャンルの中で、私には魚の生態について詳しい、という強みがありました。なので、もっと突き詰めていこうと思い、そこからさらに魚の論文を読み始めました。    

実際に釣り番組に出演してみると、好きなことが仕事にできるとこんなにも楽しいのか!と、感動しました。それと同時に、海や魚の知識が豊富だったこともあって、釣り人のファンがたくさん増えましたね。

あとは、その仕事がきっかけで、各釣り船の船長さんのご協力の元、釣り初心者の方に釣りを教えたり、皆さんと一緒に釣りを楽しむイベントをしたり。「つり具のブンブン」という釣具屋さんのイメージガールとして活動したり……大半の活動が釣りガールとしてのものに変わっていきました。「もっと釣りの世界で活動していきたい!」と、所属していたモデル事務所にも思いを伝え、ご理解をしていただきました。

──今はモデル活動はされていないんですか?    

好きをやり続けた結果、ようやく釣りに関するお仕事をベースにしていくことができました。プライベートでは大好きな大物を釣りに、国内外問わず遠征をしにいったり、お仕事でも釣りメディアやイベントをはじめ、最近はずっと続けてきた「4コマ水産学」から魚のイラスト作成のお仕事も頂いております。8〜9割はそういった「釣り」関連のお仕事ですが、有難いことに今も、モデルのお仕事もさせて頂いております。    

──釣りタレントとして活動していくことに不安はありませんか?

不安よりも楽しみな気持ちが大きかったです。釣りタレントとして活動していくことを決めたときに、業界を入念に分析したんです。そこで気が付いたことは、「釣りの領域で活動するタレントはたくさんいるけど、海や魚についての知識が豊富なタレントはまだいない」ということでした。

私は水産学科であらゆる魚や海について研究していたので、この知識が自分の強みであり、しっかり自分の色を付けて、キャラクターを確立させようと思いました。もちろん、それに甘んじずに魚にまつわる論文を毎日のように読んで知識を蓄えたり、暇があれば海や魚についてのことを考えています。

オリジナルルアーの開発のお仕事をいただいたこともあって、魚が反応しやすい色を水産学に基づき考案したので、ユーザー様からの「めっちゃ釣れる!」というお声も多くいただけて、とても嬉しかったです。  

高本さんが考案したハマチなどの大型魚釣りで使える、オリジナルルアー。

──競争の激しい業界で、自分だけの強みを見つけること。職種は関係なく、重要なことですね。

あとは、釣りの領域で魚の生態に詳しいタレントが少なかったこともチャンスだなと感じて。それで始めたのが、釣り人に向けた漫画『4コマ水産学』です。一つのお魚について書くのに10本くらい論文を読んで、時期に合わせたお魚の生態をわかりやすく伝える漫画なのですが、これを楽しみにしてくれているフォロワーさんも結構いて、私の励みにもなっています。私自身魚について理解するいいきっかけにもなっているので、これからも続けていく予定です。

──飽きてしまうことはないのでしょうか?

私はもともと飽き性なんですけれど、釣りに関してはまったく飽きません。それは、釣る場所や狙う魚だったりで釣りのスタイルが違うからなんですね。どんな仕掛け、時間帯、場所だったら釣れるのか。たくさん調べて、自分なりの仮説を立てて答え合わせをしに行く。もし釣れなかったら、どうして釣れなかったのかをまた考える。知れば知るほど、わからないことが増えていきます。でも、それがとっても面白いんです。

──最後に、最近の活動や今後の目標を教えてください!

今後も釣りや海に関わるお仕事をたくさんやって、私の活動を見て釣りや海、魚を好きになってくれたら嬉しいです。また、釣りにおいて個人的な目標でいえば、GT(浪人鯵)というお魚のサイズの日本記録を更新することです。大きな魚を釣り上げることは、釣り人としてのステイタスでもありますし、何より自分の高揚感がとてつもなく大きいですね。

(文:関戸直広 写真:納谷ロマン)

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編集者/ライター関戸ナオヒロ
さいたま生まれ、さいたま育ちの26歳。居酒屋、ホテルスタッフ、介護施設などで働いていた後、気がついたら大阪に移住。現在は家賃5000円の電気しか通っていないビルの3階に暮らしています。

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