不動産会社goodroomのInstagramが大人気!新卒・業務未経験の統括役が人気を保つために取り組んだこと

2022年11月2日

「インテリアが楽しくなるお部屋探し」をコンセプトにしたリノベーション・デザイナーズ賃貸を多く扱うお部屋探しサイト『goodroom』のInstagramは、フォロワー数が16.5万人(2022年8月末時点)を超える人気アカウントです。

企業のSNSは投稿への反響やフォロワー数が伸びにくい傾向がありますが、goodroomのアカウントはターゲットとInstagramの特性をマッチさせたフォトジェニックな物件画像と主観的な紹介文で注目を集め、成功事例としてもよく取り上げられています。

企業のSNS運用における最大のハードルは、更新し続けること。頻繁に投稿するため、複数人のチームで力を合わせて運用しなければ継続できません。コロナ禍に新卒入社してすぐSNSチームの統括役を担った清水悠貴さんに、社内の協力体制をどのように作り、人気アカウントを維持しているのか伺いました。

「はたらくって何だろう?」からの未知なるスタート

――清水さんのこれまでのキャリアを教えてください。

2020年に新卒で入社してから今に至るまで、ずっとマーケティングチームではたらいています。担当しているのはWebサイトとアプリの集客とSNS運用で、SNSは社員2~3名とアルバイト4~5名の10名弱で回しています。

SNSへ実投稿するのはアルバイトのインターン生が中心で、私はチームを管理する統括役です。トレンドを施策に落とし込んでインターン生に共有することもあれば、インターン生から「ここを変えたほうが良いんじゃないか」と提案を受けて改善することもあります。

――不動産業に興味があったんですか?

いえ、ありませんでした(笑)。学生時代は飲食店でアルバイトしていたものの、あくまで学業がメインなので、会社で日中ずっとはたらく社会人生活はイメージできなかったんです。就活中も「はたらくって何だろう?」と自分なりに考えたものの、ピンときませんでした。

でも、goodroomのアプリは好きでずっとスマホに入れていたので、「このサービスを作る仕事ができるなら楽しそうだな」と思ってグッドルーム株式会社の面接だけ受けました。一社しか応募しなかったんですが、こうして無事入社できたのはご縁だと思っています。

――ユーザーとしては、goodroomのどんなところに惹かれたんですか?

一般的な不動産サイトの写真って、角度が斜めになっていたり暗かったりとあまりきれいじゃないものが多いんですが、goodroomは明るくきれいな写真と「ここの窓が丸くてかわいいんです!」といったキャプションがあって、すごくワクワクしたんです。「確かに!」って共感しながら見ていました。

入社してから分かったことですが、自社のライターが現地取材を行っているから、クオリティが高い写真やストーリーのある文章を発信できるんです。学生時代は金沢に住んでいて近くの物件情報はなかったんですが、引っ越す予定がなくても条件を入れて検索して、雑誌感覚で楽しんでいたくらい読み応えがあります。

――アプリを知っていたとはいえ、入社していきなりチームの統括役になるのは大変だったのでは?

確かに緊張しました。入社当初からInstagramアカウントの人気があり、担当者がイベントに登壇するくらい注目されていたので「自分に務まるだろうか」「もしうまくいかなかったらどうしよう」という不安とプレッシャーがありました。

ただ、SNSチームはアルバイトのメンバーもみんなやる気を持って取り組んでくれるので、大変だと思ったことはありません。同じ部署の先輩はもちろん他部署の人もサポートしてくれて、投稿のネタになる良い部屋をSlackで共有してもらったり、分からないことを教えてもらうなどして「今の人気を維持しながら成長させていくためにはどうしたらいいか?」を常に考えていました。

――人気を維持しながら成長させるために、どんなことに取り組みましたか?

メンバーが自由に意見を言える環境づくりです。コロナ禍でリモートワークになり対面のコミュニケーションができなかったので、雑談できるチャットルームを活用して些細なことでも聞きやすくしたり、なるべく早くレスをしたりして密なコミュニケーションを心がけました。おかげで「こうしたいです」という意見がたくさん来て、うれしかったです。

あと、文章だけのやり取りだと意思疎通が難しくなるので、誤解が生まれないようシンプルにわかりやすく伝えるようにしました。それに、やってもらってから「違います、修正してください」ってなると、お互いにしんどくなってしまうので。

たとえば投稿の文言を変えるときは「こんな感じにしてください」と抽象的に伝えると人によって認識の差が生まれてしまうから、あらかじめ選択肢を作って「1番から3番のどれかで投稿してください」と指定して伝えます。選択肢は意見を出し合って作り、メンバーみんなが納得した状態で進められるようにすることも意識しています。

成果が出たとき「なぜ喜べるのか」を知り「みんなで喜ぶ」と何倍もうれしい

――SNS運用で苦労したことは?

世の中の変化についていくことです。急にフォロワーの数が減ってしまったことがあって、「なんでだろう?」と原因を探ったら、ツール側のアップデートがありタイムラインに表示されにくくなっていました。その時は「どうすればタイムラインに表示されやすくなるのか」を調べて投稿の仕方を変えたんですが、頻繁にアップデートがあるのでついていくのに苦労します。

「先月と同じことをしているのに、先月よりもいいねが少ない」といった変化があると、ツールのアップデートが原因のことも多いです。常に数字を追って、変化に敏感であることが大事だと思います。

――こまめなチェックが必要なんですね。

 フォロワーさんに応援してもらえるアカウントになるために、こまめなコミュニケーションも大切にしています。今までは素敵なお部屋を共有したい!という思いが強かったのですが、最近はフォロワーさんとのコミュニケーションを活発に行うようになりました。投稿へのコメントに返信したり、ストーリーのアンケート機能でフォロワーさんに質問したり、モデルルームを紹介するライブ配信をしたりして、ここ1年はフォロワーさんとの接点を増やせるような施策を実施しています。

――やりがいを感じるのはどんなときですか?

2つあって、1つはユーザーさんからポジティブなコメントをいただけたときです。「いつも見てます」とか「ここがかわいいです」といったコメントがあると、ちゃんと見てもらえているんだなって実感できてうれしくなります。お客さまに部屋を案内する仲介チームの人が「Instagramが素敵だったので来ました」と言われることも。やっていてよかったって思いますね。

もう1つは、フォロワー数が大台を突破するなどの成果をメンバー全員で喜び合えたときです。リモートワーク下でも、いいニュースはチャットやオンラインの事業報告会でこまめに共有しています。グッドルームには「いいことはみんなで喜ぶ」という企業風土があり、チャット欄で「すごい!」「おめでとう!」といったポジティブなコメントが飛び交うので、うれしさが倍増します。

――社内からもSNSに関する反響があるんですね。

goodroomに入社してから、「みんなで喜ぶ」ってすごくいいことだなって思いました。みんなで喜べるから出来事をシェアしようって気持ちになるし、目標に向かって頑張ろうって意欲も生まれます。

そう実感してから、どんなに些細なことでも喜ばしいコメントには必ずリアクションするようになりました。たとえば、メンバーが初めて投稿したら「おめでとう!やったね!」と絵文字付きでメッセージを送ります。「。」や「!」だけだと感情が伝わりにくいので、積極的に絵文字を使っています。

――「みんなで喜ぶ」ために意識していることはありますか?

「なぜ喜べるのか」という理由を明確にして喜びの共通認識を作り、「ただうれしい」じゃなく「だからうれしい」と思えるようにしています。

数値分析するマーケティングは、毎日記録しているデータを基に「フォロワー数やいいね数が増えるとどんな効果があるのか」を把握できるんですね。だから投稿して終わりにせず、何の投稿でどんな効果が得られたかを常に共有しています。

そうすることで「フィード投稿の質がよければエンゲージメントが増える」「エンゲージメントが増えたらフォロワー数が増える」といった連動が理解でき、いいね数やフォロワー数が増える本当の価値が分かるようになって、心から喜べるようになります。喜びは仕事のモチベーションになるので、これからもっと良くするためのアイデアもたくさん出てくるようになるんです。

未知の挑戦を楽しみながら、人とものごとをつなげていきたい

――就活時代は「はたらくイメージ」が沸かなかったとのことですが、今はどうですか?

入社してから毎日が新しいことの発見で「世の中には私が知らないことがいっぱいあるんだ」とびっくりしました。新しい知識を吸収しながら、理想と現実のギャップを埋めていくのがすごく楽しいです。マーケティングに慣れてきた今も、まだまだ知らないことがいっぱいあるのでワクワクします。

新しいことに挑戦するのは暗闇に石を投げるようなものですが、それも楽しいんです。「こういう投稿をしたらこんな反応が返ってくるんだ」とか「質問箱に答えてくれる人がこんなにいるんだ」とか、そんな一つひとつの発見が毎日あります。今分からないことがあってもこれから学べばいいんだと思って、のびのびはたらいています。

――これからどんな仕事をしていきたいですか?

先輩に「モノゴトと“それを求めている人”をマッチングさせるのがマーケティングだよ」と教えてもらってから、人とモノゴトをつなぐ存在になりたいと思うようになりました。困っている人に、求めているモノゴトの情報を届けて、作り手の思いまできちんと伝えるのが目標です。

何かしらに困っていても、それを解消するモノゴトにたどり着ける人は多くありません。いいモノゴトは世の中にたくさんあるのに、発見できない人がたくさんいる。そう気付いたのは、地域活性化について学んだときです。私は地元・三重県が大好きで、高校生のときに地域活性化の課外授業を受けたことがきっかけで、まちづくりに興味を持ちました。金沢の大学に入ってからも地域活性化に関する勉強をしていたのですが、地元の人ほど地域にある魅力をあまり知らないことに驚きました。ただそこにあるだけじゃ、なかなか見つけてもらえないんですよね。

伊勢神宮がある三重県は歴史が深く、古くからずっと続く産業がたくさんあったり、海もあっておいしい伊勢海老やアワビが食べられたり、山も川もあったりと、いろいろな魅力があります。地元の人は「東京に行けば何でもある」と思っていることも多いですが、実は三重県のほうが恵まれている部分だってたくさんあるんです。

goodroomもそうで、部屋の魅力を写真やテキストでピックアップして発信することで、隠れていた部屋のよさが画面の向こうの人にわかりやすく伝わります。仕事を通じて「情報を分かりやすく整理して、適したツールで届けることが大事なんだ」と学びました。

大好きな三重県に貢献する仕事をしたいという思いは昔からありますが、外から見ないと分からないことがあるし、都会でしか得られない経験もあります。だからあえて東京に出てきました。今はたくさん経験して学びを深め、ゆくゆくは三重県の魅力を伝える存在になるのが夢です。

(文・秋カヲリ 写真提供・グッドルーム株式会社)

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エッセイスト・心理カウンセラー秋カヲリ
1990年生まれ。ADHD、パンセクシャル、一児の母。恋愛依存や産後うつなどを経験し、現在は女性の葛藤をテーマにしたコラムを中心に執筆。求人広告→化粧品広告→社史制作→フリー。2018年にYouTuberメディア『スター研究所』を公開、2021年に『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』を出版。

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