人生100年時代のキャリアを考える最新サービス“キャリアツーリズム”とは

2022年3月9日

「副業」や「パラレルキャリア」といった言葉がクローズアップされる時代。コロナ禍で、多くの企業がリモートワークへと移行するなど、私たちのはたらき方は大きな過渡期を迎えています。

これからの時代、キャリアってどう考えればいいんだろう?そう悩めるビジネスパーソンに向けて、今、自分のキャリアや仕事について一から相談できるサービス「キャリアツーリズム」がお目見えしています。

聞けば、古民家ステイを組み合わせたプログラムなんだとか。一体どんな内容なんでしょう?このプログラムを生み出し、運営する「せんのみなと」代表、長嶺将也さん・高崎澄香さんに聞きました。

──さっそく本題ですが、「キャリアツーリズム」ってどんなサービスですか?

長嶺:一言でいうと「古民家に泊まって行う“キャリア相談”」。宿泊は1組限定で、1泊2日の間に集中して自己理解を深める内容です。対象は、自分のキャリアに対してモヤモヤを抱えている人。3〜5年後の自分の将来が描けなくて不安を抱えている人。転職活動をしているけれど進まない人、などです。

ぼくたちは起業前、転職エージェントとしてはたらいていたのですが、その中でたくさんの転職者の悩みを聞いてきました。すると、世の中の「はたらく」ことに関する課題がはっきりと見えてきたんです。 

高崎:そのような課題を解決できれば、自分らしくはたらける。そう思い、課題解消のための「キャリアツーリズム」のサービスをスタートしました。

世の中が抱える3つの「はたらく」課題

──さっそく、その課題について教えてください。

長嶺:ぼくらは大きく分けて、3つあると思っています。

1つ目は、従来の古い価値観を押し付けられている人がまだ多いこと。

転職エージェントに勤めていた時から、求職者の方から「君はこの会社で生きる人間だ、転職などするな、と会社から言われています」という声を毎日のように聞いてきました。「いい大学に行き、大企業に勤めましょう」という言葉、あるいは「会社のブランド・年収=自分の価値」と思い込まされることも、従来型の価値観の押し付けによるものだと思います。

昔は確かに年功序列で、一つの会社で頑張ることが良いとされていました 。でも、今は「就職」「転職」「副業」「起業」など、いろんなはたらき方を選べる時代。選択肢が1つだけだと思い込んでしまうともったいないんです。

高崎:2つ目は、転職希望者が、転職先を相対比較で考えてしまいがちだということです。

複数の会社から内定をもらったら、それらの会社の中でなんとなく条件を比較して、「どっちかといえばこっちかな……」と決定してしまうことがよくあります。うまくはまればいいのですが、転職後もモヤモヤが晴れずに苦しんでしまうケースが多い。原因は、自分の本当の望みを知らないまま、相対比較で決めてしまうことだと気づきました。

長嶺:3つ目は、課題というよりシステムとしてなのですが、転職エージェントに相談すると「転職するか、しないか」の二択で話が進みます。その人にとって、本当は「起業」が最適解だったとしても、本人がそこに気付いていなければ、選択肢は「転職」だけになる、ということです。

──どんどん自分らしいはたらき方から外れていってしまいますね……。これらの課題を解決する方法ってあるんですか?

高崎:あります!それは、「自分が何をしたいか」を徹底的に知ること、です。

あらゆる角度からキャリア観を掘り起こす

──「自分が何をしたいか」……というと?

長嶺:自分は、何を大切にする人間なのか。どんな人生を歩みたいのか。なんのためにはたらくのか。ぼくらは「キャリアツーリズム」の中で、コーチングの技術や理論、診断ツールを用いて、人生観やキャリア観を明確にするお手伝いをします。

コーチングといいつつ、中身としては、カウンセリング、ティーチング、コーチング、コンサルティングなどを一気通貫で行っています。一人ひとりプログラムの内容はカスタマイズしていまして、必要な期間はおよそ2カ月ほどです。

──「キャリアツーリズム」に申し込むと、何からスタートするのでしょう?

高崎:まずは、過去の体験や価値観を文字にしていただくワークから始まります。いわゆるライフチャートのようなものを作成していただきます。ワークシートは分量が多くて大変かもしれません。これが宿泊前の事前課題。ここで書いたワークシートを持って、東京から100km離れた千葉の古民家にお越しいただき、面談するという流れです。1泊2日の合宿のようなイメージですね。その後は2カ月間にわたって、オンラインで面談を行いながら目標を立てたり、行動の方法を考えたりと、理想の状態に向けて伴走させていただきます。

お互いに腹を割って話せる「古民家」の力

──アクセスのいい都会のオフィスではなく、田舎の古民家を用意している理由は?

長嶺:都会の喧騒や普段の暮らしから離れた非日常空間のほうが、徹底的に自分と向き合って、ゆっくりキャリアについて考えられるから、です。また、ここまで旅をすることで、心のスイッチも切り替えやすくなり、すんなりと内省モードに入れます。

高崎:また、ここでは自分の弱み、人生、家族のことなどを話し合うことになるので、ホッとできるような“おばあちゃんち”の雰囲気を意識して、古民家にしました。自分を理解するのは労力のかかる作業なので、リトリート空間でギュッとまとめて実施した方がストレスがないと思っています。

長嶺:1泊2日で泊まる形にしたのは、同じ屋根の下で一緒にごはんを食べて、たくさん話すことで、深く信頼関係を築いていけると思ったからです。この後、2カ月にわたって伴走することになるのですが、その時に「なんでも話せます」と言ってもらえます。それは、古民家での宿泊があるからこそ作れる空気感かな、と。

──お互いに、一時鎧を脱げる大事な場所なんですね。相談者はここでどんな2日間を過ごすことになるんでしょう?

高崎:まずは、ワークシートをもとにしたカウンセリングからスタートします。何に悩まれているのか、ご本人が感じているモヤモヤの正体を探っていきます。同時に、性格診断のツールなどを用いて先天的な性格や現状の分析を行い、自分の中に隠れている想いや感情を言葉にしていきます。

長嶺:いろんな角度から客観的に見ることが大切なので、話し合うときは、基本的、相談者さんお一人に対して、僕ら2人が参加する2on1スタイルにしています。より正確に表すと1on1on1です。通常の1on1だと講師と受講者という関係性になってしまいがちになるのですが、この形式だと”皆で一緒に考えていく”という形式になります。

お申込みの際に家族での宿泊・相談を希望していただければ、それにも対応します。実際、家族と一緒に来られる方も多いんですよ。自分の生き方に向き合い、決めていく上では家族の意見も欠かせません。ぼくらとしても歓迎です。

人の未来において「無理なことは1つもない」

──コーチングのときに気を付けていることは?

高崎:何よりも、まずは否定をしないこと。とくに「無理」というワードは使わないようにしています。

というのも、「エージェントに無理だと言われて……」と悩む相談者がたくさんお越しになるんです。それを聞くと悲しいんですよ。元エージェントの立場で考えると、「(あなたに能力がないから)無理」ではなく、「(弊社にルートや求人がないから)無理」だった可能性があるのですが、言われたらやっぱりショックですよね。

本来、はたらき方の選択肢はいくらでもあるし、一人ひとりの望みを実現できる方法を考えるのが私たちの役目。無理なことなんて一つもないんです。

長嶺:あとは、相談者のためになるなら、耳の痛いことでもきちんと伝えたい。伝えないと変化につながらないので、きらわれてもかまいません。ダメだ、なんてことは絶対に言わないけれど、必要があれば痛いことも言う存在でありたい、といつも思っています。

自分を知った2人の相談者が歩みはじめた道

──日々、相談者と向き合ってきた中で、印象に残っていることはありますか?

長嶺:たとえば40代後半の男性の相談者さんは、家族で古民家にお越しになりました。将来について、家族みんなで話し合うことによって、最初に家族関係が良くなった。そして、希望の会社への転職にも成功されたんです。

製造業から家電業界という未経験での転職だったので、おそらく年収は下がるだろうとのことでしたが、逆にアップしたんです。さらに「家庭でも、職場でも、自分の考えをこれまで以上にきちんと口に出せるようになりました」と後日連絡をいただきました。    

家族からの理解や支援があるというのは、自分の人生をつくっていく上で本当に大切なことなんだ!と、ぼく自身も学べたケースでした。

高崎:私は、20代のIT企業に勤める女性の相談者さんが印象に残っています。「今は楽しいけれど、将来もこのままでいられると思えない。楽しいほど心配になる」というご相談でした。一見幸せそうに見えても、将来の不安に苛まれている人って潜在的には多いんじゃないかと思います。

ご自身のこれまでをワークで探ってみると、過去に辛い経験をされたことで努力してコミュニケーション能力を磨き、弱みを克服してこられた人でした。深掘りしたことで、なぜ自分が楽しい今の生活を掴めたのかを言葉にできた瞬間、パッとお顔が明るくなったことを覚えています。

すべてのプログラムを終えたとき、「今後もきっとこういう風にしていけば楽しくいられるということが確信できた」「一生、楽しい人生になりそうです!」と仰っていました。内省や分析による成果がきちんと出た、うれしい瞬間でした。

お金問題は「何にお金を使うと満たされるか」を考えよう

──「好きな道をいきたいけれど、年収が下がりそう」などのお悩みもありそうですが、お金問題とはどう向き合えばいいんでしょう?

高崎:まず、考えたいのは「自分が何にお金を使いたい人間なのか」「何にお金を使っている自分が一番自分らしいのか」ということ。そこから、必要な金額を逆算し、その金額を得るための手段を考えます。

将来の貯蓄も大切ですが、お金は放っておけばなくなっていくもの。蓄えは、経験を積むとともに増やしていくのが良いと考えます。

長嶺:欲しい年収を問うと、「1,000万円欲しいです」という声もよく耳にします。そういう時はなぜ1,000万円欲しいのか、理由を言語化することから始めます。たとえば「高級車に乗りたいから」だと分かったとして、では、高級車に乗ることで手に入るものは本当に欲しいものでしょうか?それが、本当になりたい自分の姿でしょうか?

そこを考えると、意外と「高級車=成功者・エリート」という固定観念で、よく分からないまま漠然と欲しがってしまっているケースもよくあるんです。

──手に入れる必要のない大金を追い求めて苦しんでしまう……。収入を考えるときも、己を知ることが大切なのですね。

「心に“リトル自分”を」ウェルビーイングにはたらく秘訣

──最後に、最近よく耳にする“ウェルビーイング”なはたらき方について。お二人は、どんな状態だと思いますか? 

長嶺:ウェルビーイングを「幸福」や「健康」という意味で使うなら、「自己理解ができていて、自分らしく満たされている状態」ということに尽きます。自分らしさがありつつ、独りよがりにならず、人を思って行動している状態がウェルビーイングだと思います。

そして、そうなるためには、かつて本田圭佑選手の「心の中のリトルホンダが答えた」というフレーズが注目されましたが、まさにあれが大事!ぜひ“リトル自分”を見つけて、「生き方」「好きなもの」「重んじるもの」「なりたい将来像」などを素直に言語化していくのが近道だと思います。

高崎:加えて、「自分のキャリアは自分でつくる」というマインドを持つこともウェルビーイングの第一歩だと感じています。会社ではたらく場合は、会社に使われるのではなく、会社を活用する     くらいの気持ちで。「ここにいることでこのスキルを得られる」「こんな人に出会える」というプラス要素で考えていくと、きっと幸せで健康的なはたらき方につながるはずです。

(文:矢口あはや 写真提供:せんのみなと)

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ライター・編集・イラストレーター矢口あやは
大阪生まれ。雑誌・WEB・書籍を中心に、トラベル、アウトドア、サイエンス、歴史などの分野で活動。2020年に一級船舶免許を取得。

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